ABAとはApplied behavior analysis(応用行動分析学) の略語です。
行動の前後を操作することにより行動を増やしたり減らしたり出来るという原理を利用し、企業での生産性向上・スポーツ科学・認知症など様々な分野で活用されていますが、特に発達障害のお子さんへの効果が高いとの研究結果が数多く報告されており、自閉症の早期療育に使用されています。
ABAを使用して言葉や身辺自立など様々なスキルを教えることがでます。
療育法でありお薬や注射ではありません。
アメリカでは自閉症児の療育として保険適応されているほど評価されており、西欧先進国では標準治療として確立されています。
また研究も盛んに行われており、ABAの効果は科学的に証明されています。
ABAってどれくらい効くの?
残念ながら現在の医学では自閉症を完治させることは出来ません。
ですが、1987年アメリカのロバース博士がABAの手法を用いた療育を自閉症児に週40時間実施したところ、半分もの子供が小学校普通学級に入学出来、大人になってもその効果が続いたという結果が出ています。
逆にABA療育を受けなかった子供で普通学級に進学出来た子はほとんどいませんでした。
このABAの画期的な効果のおかげでアメリカ他多くの先進国では自閉症療育の標準療法として健康保険等でABA療育が受けられるようになりました。
ABA療育をしたからといって全てのお子さんが普通学級に行けるとは限りませんが、全てのお子さんが成長することができます。
日本ではABAは受けられないの?
現時点ではABAは健康保険や福祉の対象になっていません。
アメリカ等の西欧先進国と比べると残念ながらかなり遅れている状況です。
しかしABAは家庭でも保育園でも療育園でも取り入れることが出来ます。
ちょっとした声かけとお子さんへの手助け、そして良い行動を引き出す工夫を散りばめるだけでお子さんが成長する機会がグンと増えるのです。
ABAってどうやるの?私でも出来る?
ABAは理論を理解し、実践を積めば誰でも出来るようになります。
まずは行動を理解しましょう。行動を理解するためには、その行動だけでなく、行動前の出来事と、行動後の出来事に目を向けることが必要です。
行動を増やすメカニズム:強化
例えば、小さな子供がリンゴを欲しいとき、大人の手を引いて冷蔵庫まで連れて行くと、結果としてりんごがもらえたとします。
行動前の出来事として「欲しいりんごが冷蔵庫にある」という状況があり、「大人を連れて行く」という行動をすると、行動後の結果として「リンゴがもらえた」とう経験をしたということです。
きっとこのお子さんは、この次の機会もまたその次の機会も、同じような状況があれば、大人の手を引いて冷蔵庫に連れていく、という行動をとるでしょう。
このようにして、りんごが欲しい時には、大人を冷蔵庫に連れていくという、望ましい行動を増やすことができます
このように行動後に良いことがあった結果、行動が増えることを強化と言います。
行動を増やすために:強化子
行動の後に起こる 良いことを、強化子と言います。
偉いね、上手だね、という褒め言葉はもちろん、小さなお子さんは褒められることだけでなく、抱っこやくすぐりなどの身体の接触、おもちゃやおやつなどが強化子になりえます。
正しい行動を増やす手助けプロンプト
プロンプトとは、お子さんが成功するための手助けのことです。
最初からできる人はいません。こうやってやるんだよ、とやり方を見せてあげる視覚プロンプト、手を取ってするべき行動に身体を誘導してあげる身体プロンプト、赤青赤青赤だから次は・・・?と声でヒントを出す言語プロンプトなどを使用しお子さんを成功へ導きます。
お子さんがたくさん成功つめる、エラーレスラーニングを心がけましょう!
実際にABAセラピーってどうやるの? DTT
ABAの基本はDTTと言われる手法です。
行動の原理(行動の後に良いことがあると行動は増える)を利用し、お子さんに様々なスキルを教えていきます。
DTTでは課題をスモールステップに分けて教えるのでお子さんにとって小さな負担で行うことが出来ます。またマストライアルといって何度も繰り返し練習することによって行動が定着します。
ABAには様々な流派があり、お子さんの成長段階によって異なる手法が取られますが、お子さんの行動を理解し、良い行動を引き出す手助けプロンプトをすること、良い行動が継続するよう強化してあげる行動の原理を利用することは変わりありません。
困った行動が起こったら?
発達障害のお子さんは、自傷他害、パニックなど困った行動が起こる場合があります。
スーパーでお店に入る前に、ママに、「今日はお菓子を買わないよ」、と言われてたにもかかわらず、お菓子が欲しいとスーパーの床で泣き喚いた、という行動をした結果、ママがお菓子を買ってくれた、という経験をしたとします。
おそらくこのお子さんは、この次に同じような状況があれば、お菓子を手に入れようと、スーパーの床で泣き喚く、という行動をするでしょう。
逆にスーパーの床で泣き喚く、という行動をしてもお菓子を買ってもらえなければ、その行動は最終的には減っていくと考えられます。
このように行動後に良いことが無かった結果、行動が減ることを消去と言います。
このように困った行動も行動の原理を利用して減らしていくことが出来るのです。
ABAを学びお子さんの学びを助けよう
Togetherのセミナーではもっと詳しく行動について学びます。実際のセラピーの動画や見たり、ABAセラピーの実技をしたり、お子さんの困った行動の解決策をたてるプロセスを学びます。ぜひにABAを学び、実践してみてください。