- Sakurako Tanaka BCBA-D
DTT ディスクリートトライアル
DTT(ディスクリートトライアル)は、ABAを使用した、1対1で行う指導法です。
イヴァ ロバースによって開発されたもので、1つの課題をスモールステップに分けて1つづつ指導していくという、高度に構造化された手法です。
多くの研究で、自閉症児など発達障害をもつお子さんへの教育効果が高いと、繰り返し証明されています。

DTTのやり方
Step 1)先生が指示を出す
Step 2)先生が即座にプロンプトを出す
Step 3)お子さんがプロンプトに導かれ正しく正解する
Step 4)先生はお子さんの正解を強化する
というABAの原理に基づいて行われます。
お子さんが正解できるよう十分にプロンプトを出すこと、たとえプロンプトありでも正解できたらしっかり強化すること、がポイントです。

DTTの進め方
課題を複数のステップへと分解し、そのステップごとに
1)マストライアル
2)ディストラクタートライアル
3)エクパンディッドトライアル
4)ランダムローテーション
と難易度を上げてゆき、お子さんに能力を定着させていきます。
1)マストライアル
DTTの1つ目のステップはマストライアルです。
お子さんに「りんごはどれか」を教える課題をするとします。
机の上にりんごを1つおき、「りんご触って」という指示に対して適切にりんごを触れるかを練習していきます。

2)ディストラクタートライアル
DTTの2つ目ステップはディストラクタートライアルです。
机の上にりんごともう1つ何かを置き「りんご触って」という指示に対して適切にりんごを触れるように練習します。

3)エクスパンディッドトライアル
DTTの3つ目ステップはエクスパンディッドトライアルです。
「りんご触って」を行いつつ、途中でそのお子さんがすでにマスターしている課題、たとえば「ジャンプして」を挟みます。そしてまたすぐに「りんご触って」に戻ります。
一度集中が切れても課題を忘れない、という能力を高めていきます。

4)ランダムローテーション
DTTの4つ目ステップはランダムローテーションです。
「りんご触って」と同様「ぶどう触って」「みかん触って」と複数のものの名前をマスターしてから取り組みます。
マスターしているものの名前をランダムに「りんご触って」「みかん触って」
「ぶどう触って」と指示を出していきます。指示の弁別能力を高めていきます。

まとめ
発達障害をもつお子さんへの教育効果が高いDTTについて解説しました。
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Reference
応用行動分析学 – 2013/5/30ジョン・O・クーパー (著), ティモシー・E・ヘロン (著), ウイリアム・L・ヒューワード (著), 中野 良顯 (翻訳)