Redirection(リダイレクション)
- ABAスクールTogether

- 4月18日
- 読了時間: 4分
― 困った行動を「よりよい行動」にそっと方向づけるシンプルな技術 ―
子どもが困った行動をしたとき、 「ダメ!」と止めてもなかなか変わらない… そんな経験は、家庭でも学校でもよくあります。
ABAでよく使われるRedirection(リダイレクション)は、 困った行動を叱るのではなく、より適切な行動へと“そっと方向づける”方法です。
この記事では、
Redirectionの意味
なぜ効果的なのか
4つの行動機能ごとの実例
家庭・学校での具体的な使い方 を、やさしい言葉でまとめます。
Redirectionとは?
一言で言えば、
困った行動が起きた瞬間に、本人が本当に求めていることを“よりよい方法”でできるように導くこと。
ポイントは2つ。
困った行動には反応しない(=強化しない)
代わりに、機能に合った適切な行動を提示する
たとえば、 「大声で叫ぶ → “先生、見て”と言う」 「叩く → “休憩ください”と言う」 といった方向づけです。
なぜRedirectionが必要なのか?
「困った行動を無視する(消去)」だけだと、
行動が一時的に悪化する(Extinction burst)
子どもが「どうしたらいいの?」と迷う
支援者も続けにくい
という問題が起きがち。
そこでRedirectionを使うと、
“困った行動をしなくても、別の方法でちゃんとニーズが満たされる” と学べるため、行動が安定しやすくなります。
行動機能ごとのRedirection実例
家庭・学校の両方で使えるように実例を紹介します。
① 逃避(Escape)
● よくある困った行動
宿題の時間になると泣く
プリントを丸める
授業中に机の下に潜る
● Redirectionの例
家庭
子ども:宿題を前に泣き始める
大人: 「休憩したいときは“5分休憩ください”って言ってね」
子どもが言えたら → 短い休憩を与える
学校
子ども:プリントを投げる
先生: 「難しいときは“手伝ってください”って言おうね」
言えたら → 1問だけ一緒に解く
② 注目(Attention)
● よくある困った行動
大声で叫ぶ
先生の袖を引っ張る
わざと物を落とす
● Redirectionの例
家庭
子ども:大声で「ママーーー!」
大人: 「呼びたいときは“ママ、見て”って言ってね」
言えたら → 短く注目を返す
学校
子ども:授業中に机をドンドン叩く
先生: 「質問があるときは“先生、質問あります”って言おうね」
言えたら → 短く対応
③ 獲得(Access to items/activities)
● よくある困った行動
友だちのおもちゃを奪う
叫んで物を要求する
自販機の前で泣き叫ぶ
● Redirectionの例
家庭
子ども:兄のゲームを奪う
大人: 「貸してほしいときは“貸して”って言おうね」
言えたら → 短時間だけ貸す
学校
子ども:タブレットを奪おうとする
先生: 「使いたいときは“順番待ちします”って言おうね」
言えたら → 順番表に名前を書く
④ 感覚(Automatic)
● よくある困った行動
手を噛む
服を破る
机をずっと叩く
● Redirectionの例
家庭
子ども:手を噛む
大人: 「噛みたいときは、このシリコン咬みを使おうね」
使えたら → 静かにほめる
学校
子ども:授業中に机を叩き続ける
先生: 「手を動かしたいときは、このスティミングトイ使おうね」
使えたら → 学習に戻れるようサポート
Redirectionを成功させるコツ
● ① とにかく短く・シンプルに
長い説明は逆効果。 「○○って言おうね」だけで十分。
● ② 感情的に反応しない
困った行動に注目を与えないため。
● ③ 代替行動は“すぐできるもの”にする
難しい行動は使われない。
● ④ 自発的な適切行動のほうを大きく強化する
Matching Lawに基づく。 (誘導してできたときは控えめに、自発的にできたときはしっかり強化)
家庭でのよくある場面とRedirection例
● ① お風呂に入りたくなくて泣く
→ 「あと何分にする?“5分後に入る”って言おうね」
● ② お菓子が欲しくて叫ぶ
→ 「欲しいときは“お菓子ください”って言おうね」
● ③ YouTubeをやめられない
→ 「続けたいときは“あと1回見たい”って言おうね」
学校でのよくある場面とRedirection例
● ① 授業中に歩き回る
→ 「休憩したいときは“休憩ください”って言おうね」
● ② 友だちの鉛筆を奪う
→ 「借りたいときは“貸して”って言おうね」
● ③ プリントを破る
→ 「難しいときは“手伝ってください”って言おうね」
まとめ
Redirectionは、 困った行動を叱るのではなく、よりよい行動へと“そっと方向づける” とても優しい支援方法です。
困った行動は強化しない
代わりに、機能に合った適切行動を提示
できたら強化
自発的な適切行動をより強く強化
この流れを続けることで、 子どもは「どうすればいいか」が分かり、行動が安定していきます。


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