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行動の原理

ABAとはApplied behavior analysis(応用行動分析) の略語であり、発達障害のお子さんへの療育に使用されています。


アメリカでは自閉症児の療育として保険適応されているほど評価されており、言葉や身辺自立など様々なスキルを教えることがでます。


ABAは行動の前後を操作することにより行動を増やしたり減らしたり出来るという行動の原理を使用しています。


行動とは何か?を一緒に学んでいきましょう。





行動とは、生きている人間が行う全ての活動


行動とは、「生きている動物/人間が行う全ての活動」のことです。ですので、行動は、見ることが出来るし、測定することも出来ます。



もしこれが「行動」かどうか迷うようであれば、死人テストをしてみましょう。それは死人にもできますか?



「横たわった状態でいること」は死人にも出来ます。よってこれは行動ではありません。


でも死人は立っている状態から横たわることができますか?これでは死人には出来ませんので「立っている状態から横たわる」ことは行動、ということになります。




行動を言葉で言い表わそう


良い行動も、ちょっと困った行動も、まずは言葉で言い表してみましょう。


そうすることによりあなた自身も行動を客観的に見ることが出来ますし、親御さんと学校の先生が話す時に、考え方のズレがなくなります。


「挨拶ができる」と定義するよりも「太郎くんは父親・母親・弟がおはよう、と言った時に2秒以内におはようと返答することができる」など、出来るだけ具体的な描写を心がけましょう。



行動前の出来事・行動・行動後の出来事 三行随伴性


応用行動分析学の一番の基本、三項随伴性について学んで行きましょう。


応用行動分析学では、行動、だけでなく、行動の前の出来事と、行動の直後の出来事についても注目します。




例えば、小さな子供がリンゴを欲しいとき、大人の手を引いて冷蔵庫まで連れて行くと、結果としてりんごがもらえたとします。


行動前の出来事として、欲しいりんごが冷蔵庫にあるという状況があり、大人を連れて行く、という行動をすると、行動後の結果として、リンゴをもらえるとう経験をしたということです。


このお子さんは、次の機会も同じような状況があれば、大人の手を引いて冷蔵庫に連れていく、という行動をとるようになるでしょう。





行動が増える:強化, 行動が減る:弱化


このように行動後に良いことがあった結果、行動が増えることを強化と言います。


行動を増やすもの、この例であればりんご、を強化子と言います。


逆に、ちょっと頑張ってお手伝いをしたのにお皿を落としてしまって、お母さんに「余計なことしないで」と怒られたら、きっともうお手伝いなんてしたくなくなってしまいます。


このように、行動をした後に嫌なことがあってその行動が減ることを弱化、と言います(行動=お皿を運ぶお手伝い、行動の後の出来事= 母さんに「余計なことしないで」と怒られる)「余計なことしないで」と怒ることを弱化子と言います。

このように行動の後に起こる結果は、大きく分けて2つしかありません。1)行動を増やすもの=強化, 2)行動を減らすもの=弱化、です。



行動を増やす、行動の後の出来事は、「嬉しいもの・良かったものを与えられる」、だけではありません。


「嫌なものから逃れられた」という場合もあります。



ゴミの匂いが臭い、という行動の前の出来事があって、ゴミを捨てる、という行動をした結果、臭い匂いが消えた、という行動の後の出来事があったとします。


このような経験をした場合、臭い匂いがあった時にはまたゴミを捨てる、という行動が増えると考えられます。これも行動が増えるので強化ですが、嫌なものを減らす(負)によって行動が増えるので、負の強化と言います。


先ほどのりんごの例では、嬉しいものを得る・増やす(正)ことで行動が増えたので正の強化、と言います。


電車に乗りたい!とお母さんにお願いして電車でお出かけをすることになったとします。


電車の中では静かにするよ、と約束したにもかかわらず、電車の中で走り回ってしまいました。お母さんは次の駅で電車を降りて、約束を破ったからもうお出かけはおしまい、と言いました。電車に乗っている、という行動前の出来事があり、電車の中で走り回る、という行動をした結果、電車から降ろされる、という行動の後の結果という経験をしたということです。

最終的にはこの電車の中で走り回るという行動は減って行くと考えられます。このように嬉しいことを取り除くこと(負)によって行動が減って行く(弱化)ことを、負の弱化、と言います。


先ほどお手伝いの例では、お皿を運ぶお手伝いをした結果、お母さんに「余計なことしないで」と怒られるという嫌なことが起こり(正)、行動が減って行く(弱化)ので正の弱化と言います。





行動前の出来事 先行刺激


応用行動分析ではこの行動前の出来事のことを先行刺激と言います。


先行刺激は行動が起こるきっかけとなるもので、様々です。お腹が空いた、退屈している、何かに気づいただけでなく、自閉症のお子さんはこだわりが強くも自然と周りの環境に注目することが苦手なので、場やアクティビティの転換を求められたり、今やっていることを邪魔されたり、スケジュールの急な変更などの先行刺激をきっかけにパニックを起こしてしまうこともあります。



先行刺激と弁別刺激、オペラント行動、刺激性制御


しかし自閉症のお子さんももちろん学習することが出来ます。お母さんに「これなーんだ?」と犬のぬいぐるみを見せられ、「犬って言ってごらん」と手助けしてもらい「犬」と答えられたとします。お母さんは犬のぬいぐるみをくれました。


「これなーんだ?」と聞かれたことが行動前の出来事(先行刺激)であり、「犬」と答えたことが行動、行動後の出来事として犬のぬいぐるみをもらえました。


「犬って言ってごらん」と言う手助けがあったとは言え、この先行刺激が適切な行動を引き出しています。何度も同じ練習をすることにより、「犬って言ってごらん」と言う手助けがなくなっても「犬」と言うという行動が出来るようになります。


学習して学んだこの行動をオペラント行動といい、この三行随伴性が刺激性制御下の置かれたといいます。刺激性制御下に置かれた場合、先行刺激を弁別刺激、と呼びます。



行動を起こりやすくする/起こりにくくする環境 

動機づけ操作


夏の暑い日には水が飲みたくなりますし、寝不足の時にはどうしても小さなことでイライラしがちです。


このように、私たちの行動が起こりやすくなる/起こりにくくなるのは、その時のコンディション=環境に大きく左右されています。


お腹が空いている時であれば、「リンゴちょうだい」という言葉の練習をするチャンスです。


このように「リンゴちょうだい」と言う練習をするために少しお腹が空くのを待つことを動機づけ操作、と言います。


一方で、お腹が空きすぎるとお母さんの言うことを聞こうとしなくなってしまいますので注意が必要です。



また、動機付け操作は問題行動と大きく関わっており、お子さんの適切な行動を維持し問題行動を抑えるのに非常に大切です。


朝ごはんを食べずに登校し授業に集中できなくなるのであれば、朝少し早く起きて朝ごはんを食べてから登校させるようにしましょう。


人に構ってもらいたくていたずらをしてしまいがちなお子さんであれば、いたずらをしないで普通に出来ている時にこそ「頑張ってるね」「何して遊んでるの?」と声をかけてあげるようにしましょう。



行動を起こりやすくする、起こりにくくする環境を作り出すのは、まだ経験が未熟なお子さんには難しく、大人がサポートしてあげなければいけません。


お子さんの良い行動を引き出し、困った行動を起こりにくくするために、ちょっと先回りして環境を整えてあげましょう。



行動の原理を利用し、効果的な療育を行おう。


三項随伴性、強化/弱化、先行刺激と弁別刺激、刺激性制御、オペラント行動、動機づけ操作といった行動の原理を学びました。

Togetherではもっと詳しく行動の原理とABAの理論を学びます。是非私たちのサイトで学び、実践に移して見てください。

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