先行介入とは、良い行動が起こる可能性をあげたり、問題行動が起こる可能性を下げる介入のことです。
行動を考える際、私たちは行動そのものだけを見るのではなく、行動の前の出来事(先行刺激)と、行動の後の出来事(結果)についても見ていかないといけません。
ABAの介入の根幹は、「行動の後の結果を変化させることによって、将来の行動の起こりやすさが変わる」という強化と弱化などの行動の原理からきています。
しかし、行動の前を調整することによっても、行動の起こりやすさを変えることができます。
先行介入の種類
先行介入には
1) 行動モメンタム
2) プレマックの原理
3) 機能的コミュニケーショントレーニング
4) NCR 非条件性強化
の4つがあります.
行動モメンタム
1つ目の先行介入は行動モメンタムです。
行動モメンタムとは、得意なことを連続してやった直後だと、苦手なことを克服しやすいという原理です1)2)。
例えば教室での着席が難しいお子さんであれば、最初に本人に取って簡単な「プリントを配って」「ドアをしめて」など指示に従ってもらったあと、「座って」と指示するとすんなり出来る場合があります。
プレマックの原理
2つ目の先行介入はプレマックの原理です。
プレマックの原理とは、後に楽しい予定を配置することで、先の苦手な課題を達成しやすくなるということです1)。
例えば外に遊びに行くのが好きな子供であれば、宿題を終わったら外へ遊びに行って良いという順番でスケジュールを組むと、スケジュールの達成の可能性が上がります。
日常生活でもよく使用しやすい方法で、手を洗ってからおやつ、寝る前の歯磨きが終わったらテレビをつけて良い、など使用することができます。
機能的コミュニケーショントレーニング
3つ目の先行介入は機能的コミュニケーショントレーニングです。
機能的コミュニケーショントレーニングとは、問題行動を起こす代わりに人との適切なコミュニケーション方法を教えるという方法です2)。
例えば、自分の気持ちをいうことが難しく、ストレスが溜まると「もう辞めたい」「休憩したい」と言えず、黙り込んでお漏らしをしてしまうお子さんがいたとします。
その場合、「休憩したい」と自分の気持ちを伝える練習をすることによって、黙り込む・お漏らしをするという方法ではなく、言葉で伝えるという適切なコミュニケーションを取れるようになります。
機能的コミュニケーショントレーニングは課題として取り組むとともに、お子さんがそのような場があれば適切なコミュニケーションを取れるよう適宜プロンプトしてあげることが大切です。
非条件的強化(NCR)
4つ目の先行介入は非条件的強化です。
非条件的強化 とは、強化を常に与えることによって、問題行動を起こすモチベーションを下げるという方法です。
例えば、人にかまって欲しいけど適切に人に声がけができず噛んでしまうというお子さんがいたとします。
お子さんに例えば10分ごとに声掛けして上げることで、自分は十分に注目されていると満たしてあげることにより、お子さんは注目が欲しくて人を噛む必要がなくなります。
問題行動を起こしにくくする対応として、先ほどの機能的コミュニケーショントレーニングと併用したい方法です。
まとめ
良い行動が起こる可能性をあげたり、問題行動が起こる可能性を下げる先行介入について解説しました。ABAスクールTogetherでは、行動の原理・ABAの理論を広く学び、ABA国際資格であるABATの取得を目指すことができます。是非私たちと一緒に学んでみてください。
参考文献
1)応用行動分析学 – 2013/5/30ジョン・O・クーパー (著), ティモシー・E・ヘロン (著), ウイリアム・L・ヒューワード (著), 中野 良顯 (翻訳)
2)The ABA Visual Language: Applied Behavior Analysis– 2017/5/1 Makoto Shibutani
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