ABAはアメリカでは自閉症児の早期療育法として保険適応されているほど評価されており、また他の西欧先進国でも標準治療として確立されています。
研究も盛んに行われており、ABAの効果は科学的に証明されています。
ここでは、ABAの研究結果をご紹介します。
ロバース博士の研究 自閉症児のIQが大きく改善
1987年、UCLA(カリフォルニア州立大学ロスアンゼルス校)のロバース博士の研究チームは、軽度または中度の知的遅れのある、2-3歳の自閉症幼児19名に対して、ABAの手法を用いた療育を週40時間実施しました。
その結果、多くの子供達が言葉を話せるようになり、指示に従えるようになり、適切なおもちゃ遊びができるようになり、おむつが取れました。
成長と共にセラピストの付添い付きで健常児の通うプレスクールに入り、次第に集団への適応が出来るようになりました。
その結果、19名中、9名が知的に正常域に達し、自閉症の前歴を知らない学校当局者の手で、付き添いなしで小学校普通学級への入学が許可され、小学校一年次を修了することができました。

残り10人のうち、8人は軽度の遅れのあるクラスに、2人が重度の遅れのあるクラスに入りました。
平均IQ53から83へと大きく上昇し正常域に達しました。
このように、軽度または中度の知的遅れのある自閉症児の約半数近くが、ABA早期療育の結果、劇的に改善する可能性があることが示されました。

ABA早期療育は大人になっても効果が続く
ABA早期治療により小学校普通学級に進学した9名の子供たちはその後どうなったのでしょうか。
ABAの手法を用いた療育を週40時間実施し普通学級に入った9名の子供たちは平均年齢13歳になった時点での追跡研究では、9人のうち1人がその後特殊学級に移行していました。しかしその代わりに、そのとき特殊学級にいた1人が小学校卒業後、普通学級に移行し、その後短大に進学しました。
平均IQは85と小学校入学時のIQを維持していました。
このように、ABAの早期療育は長期的な効果が認められるということがわかりました。

一方、ABAを10時間未満しか行わなかったグループでは、普通学級に移行した子どもは一人もおらず、平均IQは55であり、全員が特殊学級にとどまったままでした。

日本では残念ながらABAは公費で受ける事が出来ませんが、療育機関や家庭でABAに基づく療育を導入する事が出来ます。
是非、ABAについて学び、実践に移してみてください。
ABAはアメリカでは公衆衛生局長官の推奨でTEACCHなどに比べ優勢ですが、ヨーロッパではごくわずかしかおこなわれておりません。「西欧諸国で標準治療」は誤解です。ごく少数派である欧州のABA専門家が嘆いています。国際学会でもアメリカのABA一本やりに欧州からしばしば批判が起き、「ケンカ」になるくらいです。Keenan et al.2015 Rev J Autism Dev Disord (2015) 2:167–183 DOI 10.1007/s40489-014-0045-2