★Cへの戦略★ 行動の機能に基づく消去+リダイレクション
- Together合同会社

- 2月5日
- 読了時間: 6分
子どもが困難な行動を見せたとき、
「どう止めるか」だけに意識が向いてしまうこと、ありますよね。
でも実は、行動をただ減らすだけではなく、
“よりよい行動に導く”ことで、子どもが自分のニーズを適切に満たせるようになる
という、とても大切な視点があります。
それが今回紹介する
「消去+リダイレクション(転向Redirection)」
というアプローチです。
まずは「なぜその行動が起きているのか」を知ることから
困難な行動には必ず理由(=機能)があります。
逃げたい
注目してほしい
物や活動が欲しい
感覚が気持ちいい
この“理由”を理解したうえで、
困難な行動が出たときに、
その行動では目的が達成されないようにしつつ、
よりよい行動に方向づける(リダイレクト)
というのが今回のポイントです。
「消去」と「リダイレクション」の違い
消去(Extinction)
困難な行動を強化してしまっている結果をやめること。
例:
泣いてもお菓子はもらえない
叫んでも注目はもらえない
リダイレクション(Redirection)
困難な行動が出た瞬間に、
より適切な行動を思い出させる・促すこと。
例:
「欲しいときは“貸して”って言おうね」
「休憩したいときは“休憩ください”って言ってね」
この2つを組み合わせることで、
行動を減らすだけでなく、よりよい行動を増やすことができます。
行動の機能ごとに見る「消去+リダイレクション」
ここからは、行動の4機能ごとに
“どんなリダイレクションができるか”をイメージしやすく紹介します。
逃避(Escape)
困難な行動:
叫ぶ
机の下に潜る
課題を投げる
リダイレクション:
「休憩したいときは“休憩ください”って言おうね」
「難しいときは“手伝って”って言ってね」
ポイント:逃げなくても助けてもらえる経験を積ませる。
獲得(物・活動)
困難な行動:
物を奪う
叫んで要求する
床に寝転んで買ってほしいアピール
リダイレクション:
「欲しいときは“貸して”って言おうね」
「順番を待てたら遊べるよ」
ポイント:“適切な行動で手に入る”ことを一貫して伝える。
注目
困難な行動:
わざと大きな音を出す
ふざけて気を引く
叩いて注目を得ようとする
リダイレクション:
「話したいときは“見てください”って言おうね」
「手を挙げたらすぐ気づくよ」
ポイント:行動には過剰に反応しないが、適切な注目の求め方を思い出させる。
感覚
困難な行動:
物を叩いて音を楽しむ
揺れを求めて机を揺らす
反響音を楽しむ
リダイレクション:
「音を出したいときはこの楽器を使おうね」
「揺れたいときはバランスボールにしよう」
ポイント:身体的に止めるのではなく、より安全で適切な代替行動に導く。
リダイレクションに応じたときの“強化の仕方”が大事
ここで重要なのが、
リダイレクションに応じて適切な行動ができたら必ず強化する
ということ。
ただし、
最初から自発的にできたときよりは控えめに強化する
のがポイント。
例:
リダイレクト後に「休憩ください」と言えた → 1分休憩
最初から自分で言えた → 5分休憩
これは、
“自分から適切な行動をしたほうが良い結果につながる”
と学べるようにするため。
ABAでは「マッチング法(matching law)」と呼ばれる考え方です。
消去+リダイレクションの例
逃避
学校(授業・学習)
叫んで課題を止めようとする → 「休憩したいときは“休憩ください”って言おうね」
机の下に潜る → 「手伝ってほしいときは“手伝って”って言ってね」
プリントを破る → 「難しいときは“少し待って”って言ってね」
ため息で逃げようとする → 「困ったら“助けて”って言ってね」
席を立つ → 「休憩カードを使おうね」
家庭(生活)
歯磨きから逃げるために泣く → 「嫌なときは“少し待って”って言おうね」
片付けから逃げて走り回る → 「“手伝って”って言ってくれたら一緒にやるよ」
お風呂を避けて隠れる → 「“あと2分待って”って言ってね」
宿題を避けてテレビを見る → 「“休憩したい”って言ってくれたら1分休憩しよう」
療育(セッション)
課題から逃げるために奇声 → 「“ヘルプ”って言おうね」
材料を投げて逃避 → 「“やり方を見せて”って言ってね」
課題を変えたくて泣く → 「“別のにしたい”って言おうね」
思春期・大人
宿題を避けてスマホ → 「“5分休憩したい”って言ってね」
仕事のタスクを避けてため息 → 「“サポートが必要です”って言おう」
獲得(物・活動)
学校
おもちゃを奪う → 「欲しいときは“貸して”って言おうね」
タブレットを叫んで要求 → 「“タブレットお願いします”って言ってね」
順番を抜かす → 「“次はぼく?”って聞いてね」
授業中に勝手に本を取る → 「“読んでいい?”って聞こうね」
家庭
お菓子を泣いて要求 → 「“お菓子ください”って言おうね」
買い物で床に寝転んで要求 → 「“買ってもいい?”って聞いてね」
ゲームをしたくて怒る → 「“ゲームしたい”って言ってね」
YouTubeを見たくて物を投げる → 「“見てもいい?”って言おうね」
療育
好きな玩具を奪う → 「“順番変わって”って言おうね」
活動を変えたくて叫ぶ → 「“別のがしたい”って言ってね」
ごほうびを勝手に取る → 「“ごほうびください”って言おうね」
思春期・大人
SNSをしたくて不機嫌 → 「“SNSの時間にしたい”って言ってね」
物を借りたくて強引に取る → 「“貸してもらえますか”って言おう」
注目
学校
わざと大声 → 「話したいときは“聞いてください”って言おうね」
ふざけて気を引く → 「“見てほしい”って言ってね」
友だちをつつく → 「“一緒に遊ぼう”って言おうね」
机を叩く → 「“先生、見て”って言ってね」
家庭
わざと物を落とす → 「“見てほしい”って言おうね」
兄弟をからかう → 「“遊ぼう”って言ってね」
大きな音を出す → 「“話したい”って言ってね」
ため息で気を引く → 「“聞いてほしい”って言ってね」
療育
セラピストの手を引っ張る → 「“見てください”って言おうね」
奇声で注目を得ようとする → 「“こっち来て”って言ってね」
物を投げて気を引く → 「“手伝って”って言おうね」
思春期・大人
皮肉で気を引く → 「“話を聞いてほしい”って言おう」
大きなため息 → 「“相談したい”って言おう」
感覚
※身体的なブロックは避け、環境調整+代替行動で対応。
学校
机を揺らす → 「揺れたいときはバランスボールにしよう」
ペンをカチカチ → 「静音ペンを使おう」
反響音を楽しむ → 「楽器コーナーで音を出そう」
机の角を叩く → 「このクッションを叩こう」
家庭
ドアをバタン → 「静かに閉まるドアストッパーを使おう」
テーブルを叩く → 「このマットの上で叩こう」
水を撒く → 「水遊びコーナーでやろう」
スイッチを連打 → 「スイッチカバーを使おう」
療育
物を落として音を楽しむ → 「落としても音が出ないボールにしよう」
紙を破く → 「破ってもいい素材にしよう」
机をこする → 「こすっても音が出ないシートにしよう」
思春期・大人
ペン回しの音 → 「静音ペンにしよう」
机を叩く → 「ストレスボールを使おう」




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