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刺激等価性(Stimulus Equivalence)
ABA(応用行動分析)には、 「ある刺激を学ぶと、教えていない別の刺激も理解できるようになる」 という、とても興味深い学習の仕組みがあります。 それが 刺激等価性(Stimulus Equivalence) です。 刺激等価性が成立すると、 学習者は 刺激同士の関係を自分で広げていく ことができ、 学習効率が大きく高まります。 刺激等価性は、次の3つの関係から成り立ちます。 反射性(Reflexivity) 対称性(Symmetry) 推移性(Transitivity) ひとつずつ見ていきましょう。 ① 反射性(Reflexivity)A=A 自分自身と一致する関係 反射性とは、 「A は A と同じである」 という、もっとも基本的な関係です。 例: 文字「A」を見せて「A と同じものを選んでね」と言うと、同じ「A」を選ぶ 自分の名前カードを見て、同じ名前カードを選ぶ これは、刺激をそのまま“同じもの”として認識できる力です。 ② 対称性(Symmetry)A=B ▶︎ B=A 教えた関係が“逆向き”にも成立する 対称性とは、 「

ABAスクールTogether
3月4日読了時間: 4分


条件性動機づけ操作(CMO)
ABA(応用行動分析)では、行動が起きる背景として MO(動機づけ操作) がとても重要です。 その中でも、過去の経験によって学習された動機づけを 条件性動機づけ操作 Conditioned Motivating Operations (CMO) と呼びます。 CMO は、 「その人がこれまでどんな経験をしてきたか」 によって、行動の起こりやすさが変わるという考え方です。 CMO には次の3種類があります。 CMO-R(反射性) CMO-S(代理性) CMO-T(移行性) それぞれ、日常の例を使いながら解説していきます。 ① CMO-R(反射性) 嫌なことを避けるために行動が起きる CMO-R は、 「このままだと嫌なことが起きるかもしれない」 という経験から生まれる動機づけです。 過去に嫌な結果を経験しているため、 その状況を避けたり逃げたりする行動が強くなります。 嫌な経験を避けるために行動が起きる という、非常に日常的で理解しやすい動機づけです。 雨に濡れた → 傘を持つようになる 叱られた → その状況を避ける 痛い思

ABAスクールTogether
3月4日読了時間: 5分


DSM-5-TR™ における「発達障害(神経発達症)」
発達支援に関わっていると、「DSM-5-TR™」という言葉を耳にすることが増えてきました。 これはアメリカ精神医学会(APA)が発行する、精神疾患の国際的な診断基準です。 その中で「発達障害」は “神経発達症(Neurodevelopmental Disorders)” というカテゴリーとして整理されています。 「障害(disorder)」という語を外し、個人の特性としての症状・行動傾向を示すために「神経発達症(Neurodevelopmental Disorders)」という用語が使用されているのです。 ただし日本では「発達障害」という言葉が広く浸透しているため、実務や説明では従来通り「発達障害」を使うことも多です。 神経発達症とはどんなもの? DSM-5-TR™ では、神経発達症を次のように説明しています。 発達期(多くは就学前)に現れる特性の集まり 個人・社会・学業・職業など、 生活のさまざまな領域に影響する発達上の欠如(deficits) を特徴とする 症状は幅広く、 複数の特性が重なって現れることが多い つまり、「発達障害」という

ABAスクールTogether
2月18日読了時間: 5分


弱化と消去の副作用
ABAでは、問題行動を減らす方法として 弱化(Punishment) や 消去(Extinction) が選択肢に入る場合があります。 しかし、これらの手続きには 強い副作用 があり、使い方を誤ると状況が悪化することもあります。 弱化を使ったら攻撃行動が増えた 消去を始めたら行動が激しくなった 別の場面で問題行動が増えた 子どもが支援者を避けるようになった こうした現象は、ABAの現場で非常に起こりやすいことです。今日は、 弱化と消去の副作用 の特徴と予防策をわかりやすく紹介します。 弱化の副作用 弱化は即効性がある一方で、次のような副作用が起こりやすい。 ✔ ① 弱化を行う人を避ける(Avoidance) 弱化を使うと、 行動ではなく“人”を避けるようになる ことがある。 例 先生が叱る → 子どもが先生を避けるようになる ✔ ② 効果が一時的(Temporary Effect) 弱化はその場では効くが、 長期的な行動変化にはつながりにくい 。 ✔ ③ 不適切な般化(Inappropriate Generalization) ターゲット行

ABAスクールTogether
2月12日読了時間: 6分


強化の副作用
ABAでは、望ましい行動を増やすために 強化(Reinforcement) を使用します。 しかし、強化は万能ではなく、 使い方によっては副作用が起こる ことがあり、使用には注意が必要です。 強化子に飽きて効かなくなる 強化がない場面で行動が出にくい 強化がないと行動が出なくなる 強化のタイミングがズレて問題行動を強化してしまう SD(合図)に依存して自然場面で行動が出ない こうした現象は、ABAの現場で非常によく起こります。 今日は、 強化の副作用に限定して 、その原因と予防策をわかりやすく紹介します。 1. 強化子の飽和(Satiation) 同じ強化子を使い続けると、 その強化子の 価値が下がって効かなくなる ことがあります。 ✔ 例 毎回同じお菓子 → 最初は喜ぶが、だんだんやる気が下がる ✔ 予防策 強化子をローテーションする 少量で提供する 自然な強化子(達成感・承認)へ移行していく 2. 強化子が“気を散らす” 強化子そのものが刺激になり、 課題より強化子に注意が向いてしまう ことがある。 ✔ 例 シールを渡した瞬間に遊び始めて

ABAスクールTogether
2月12日読了時間: 5分


情動反応・誘発反応への対応
ABAの介入を始めると、 「行動は減ったけど、怒りっぽくなった」 「泣く・叫ぶ・手が出るなどの反応が増えた」 そんな経験はありませんか? 実はこれは、ABAの世界ではよく知られた現象で、 情動反応(Emotional Responses) と 誘発反応(Elicited Behaviors) と呼ばれます。 今日は、これらの反応がなぜ起こるのか、どう対応すればいいのかを、わかりやすくまとめます。 情動反応とは? 情動反応とは、 介入によって生じる怒り・不安・いらだちなどの感情的な反応 のこと。 特に起こりやすいのは… 消去(Extinction) 弱化(Punishment) 強化の撤去 など、 これまで得られていた強化が急に得られなくなる場面 。 ✔ 例 お菓子が欲しくて泣く → これまではもらえていた ↓ 介入で「泣いても渡さない(消去)」に変える ↓ 泣きが強くなる、叫ぶ、叩くなどが増える これは 消去バースト と呼ばれる自然な反応です。 誘発反応とは? 誘発反応とは、 生理的・反射的に起こる反応 のこと。 例: 汗をかく 心拍

ABAスクールTogether
2月12日読了時間: 6分


維持(Maintenance)
ABAでは、行動を“できるようにする”ことと同じくらい、 できるようになった行動を維持すること がとても大切です。 一度できるようになったのにまた出来なくなってしまう 強化がなくなるとすぐ消えてしまう こうした悩みは、実はとてもよくあること。 そこで必要になるのが 維持(Maintenance) の考え方です。 1. 維持とは? 維持とは、 教えた行動が、時間が経っても続くこと 。 教室 → 家 支援者 → 家族 トークン → 自然な強化 練習場面 → 日常場面 上記のように場所や場面が変わっても行動ができるようになることを 般化 と言いますが、 維持とは「時間の般化」 と言われています。 時間が経っても行動が安定して続く状態を目指します。 2. 行動を維持するための3つの柱 ABAでは、行動を維持するために次の3つの方法を使います。 ① フェイディング(Fading) — プロンプトや支援を少しずつ減らす 行動ができるようになっても、 支援が強すぎると 支援がないとできない状態 になってしまう。 だから、 言語プロンプトを短くする 身体プ

ABAスクールTogether
2月11日読了時間: 6分


チェイニング(Chaining)/ タスクアナリシス(Task Analysis)
子どもに「手洗い」「着替え」「歯みがき」などの複数のステップに渡るスキルを教えるとき、 どうやって教えたら良いかわからないことはありませんか? ABAでは、このような複数のステップに渡るスキルを教える際に 1)まずステップに細かく分類する タスクアナリスシス 2) 複数の行動をステップごとに教えていく チェイニング を実施します。 今日は、タスクアナリシスとチェイニングの種類と使い方を、解説します。 タスクアナリシス(Task Analysis)とは? タスクアナリシスとは、 複雑な行動を「小さなステップ」に分解する作業 のこと。 歯みがき 手洗い 着替え 朝の支度 学校の準備 料理 学習スキル(文章を書く、計算する) こうした“まとまりのある行動”は、実は細かいステップの連続でできている。 そのステップを ひとつずつ明確にする のがタスクアナリシス。 タスクアナリシスやり方 ✔ ステップ1:実際にやってみる まずは自分でその行動をやってみる。 「思ったよりステップが多い…」と気づくことが多い。 ✔ ステップ2:ステップを細かく書き出す

ABAスクールTogether
2月11日読了時間: 6分


内的妥当性を脅かす要因
ABA(応用行動分析)では、介入が本当に効果をもたらしたのかを判断するために、 「内的妥当性(Internal Validity)」 がとても重要になります。 しかし、現場ではさまざまな理由で内的妥当性が揺らいでしまうことがあります。 この記事では、研究や支援の質を下げてしまう 7つの代表的な脅威 を、わかりやすく紹介します。 1. Observer Drift(観察者のドリフト) 観察者が、 気づかないうちに測定の基準を変えてしまうこと 。 ● 例 最初は厳密にカウントしていたのに、時間が経つにつれて判断がゆるくなる。 ● なぜ問題? データの一貫性が失われ、介入の効果を正しく判断できなくなる。 2. Reactivity(反応性) クライアントが、 観察されていることを意識して行動を変えてしまうこと 。 ● 例 観察者が近くにいるときだけ良い行動をする。 ● なぜ問題? 本来の行動ではなく、「見られているときの行動」が記録されてしまう。 3. Observer Bias / Expectations(観察者バイアス・期待) 観察者の「こう

ABAスクールTogether
2月9日読了時間: 5分


内的妥当性・外的妥当性・社会的妥当性
ABA(応用行動分析)では、介入が本当に効果をもたらしたのかを判断するために、研究の「妥当性」という考え方がとても重要になります。 この記事では、行動分析の基礎である Internal Validity(内的妥当性) External Validity(外的妥当性) Social Validity(社会的妥当性) を、解説します。 1. Internal Validity(内的妥当性)とは? 内的妥当性とは、 行動の変化(従属変数)が、介入(独立変数)によって起きたとどれだけ確信できるか を示す指標です。 内的妥当性が高いほど、 実験的統制が強く 介入と行動変化の関係が明確 になります。 ● 例 リサの勝手に発言する行動が減り、手を挙げる行動が増えた。 その間、他の介入や環境変化は一切なし。 → この場合、トークンシステムが行動変化の原因だと強く言える。 Extraneous Variables(外的変数) 外的変数とは、 実験中に一定に保つべき環境要因 のことです。 ● 例 明るさ 部屋の環境 温度 また、予期せず起きた Confo

ABAスクールTogether
2月9日読了時間: 5分


測定 IOA(観察者間一致率)
ABA では、行動を測定し、そのデータをもとに支援の効果を判断します。 しかし、もし観察者によってデータがバラバラだったら、正しい判断はできません。 そこで重要になるのが IOA(Interobserver Agreement:観察者間一致率) です。 IOA(観察者間一致率)とは? 複数の観察者が同じ行動を見たとき、どれだけ同じデータを記録できたかを示す指標。 IOA が高いほど、 行動の定義が明確 測定方法が安定 データの信頼性が高い ということがわかります。 なぜ IOA が必要なの? ● 1. データの信頼性を保証するため 観察者が変わっても同じデータが取れる=信頼できるデータ。 ● 2. 行動の定義が適切か確認できる IOA が低いときは、定義が曖昧な可能性が高い。 ● 3. 介入の効果を正しく判断できる データが安定していないと、支援の効果を誤って判断してしまう。 IOA の種類 1. 回数(Repeatability)を扱う IOA ● ① Total Count IOA 全体の回数がどれだけ一致しているか。 もっともシンプル た

ABAスクールTogether
2月8日読了時間: 5分


測定:直接測定・間接測定・成果物測定
ABA では、行動を理解し、支援の効果を確かめるために データの測定 が欠かせません。 しかし、測定方法にはいくつか種類があり、それぞれ特徴や使いどころが異なります。 この記事では、 直接測定(Direct Measure) 間接測定(Indirect Measure) 生成物測定(Product Measure) の3つを、日常例とともにわかりやすく紹介します。 1. 直接測定(Direct Measure) 行動が起きている“その瞬間”を観察して記録する方法。 もっとも正確で信頼性が高い測定方法です。 ● 特徴 行動をリアルタイムで観察 推測が不要で、データの質が高い ABA で最も推奨される方法 ● 例 授業中に手を挙げた回数をその場で数える 課題に取り組んでいる時間(持続時間)を測る 友だちに話しかけた頻度を観察して記録する ● こんなときに使う 行動が観察しやすい セッション中に行動が起きる 正確なデータが必要 2. 間接測定(Indirect Measure) 行動が起きた“あとで”、人の記憶や主観をもとに情報を集める方法。 直接

ABAスクールTogether
2月8日読了時間: 5分


効果的な強化(Effective Reinforcement)
ABA では、行動を増やすために「強化」を使います。 しかし、ただ褒めればいい、ただごほうびを渡せばいい、というわけではありません。 強化には“効果的に働く条件”がある のです。 この記事では、強化を最大限に活かすための5つのポイントを、わかりやすく紹介します。 1. 即時性(Immediate) 行動の直後に強化すること。 強化は、行動とできるだけ近いタイミングで行うほど効果が高まります。 例 子どもが片付けを始めた瞬間に「いいね!」と声をかける 宿題に取りかかったらすぐにシールを渡す 数分後に褒めても、子どもは「何を褒められているのか」がわからなくなってしまいます。 2. 明確さ・際立ち(Distinct) 強化が“はっきりと伝わる”こと。 強化がぼんやりしていると、行動に影響を与えにくくなります。 褒めるときは、 笑顔・声のトーン・ジェスチャー を使ってわかりやすく ごほうびを渡すときは、 相手の注意がこちらに向いている状態で 「なんとなく褒められた気がする」では、強化として弱くなってしまいます。 3. 記述性(Descriptive)..

ABAスクールTogether
2月8日読了時間: 5分


集団随伴性 Group Contingency
集団随伴性とは、行動の後の結果が個人ではなく集団に依存することです。 集団随伴性には 1) 集団依存型随伴性 2) 相互依存型集団随伴性 3) 独立型集団随伴性 の3つがあります。

Together合同会社
2024年11月5日読了時間: 2分


刺激等価性 Stimulus Equivalence
刺激等価性とは、知っている法則から新たな法則を見つけ出す現象のことです1)2)。 例えば、私たちは、100円玉1枚はは50円玉2枚と同じことであり、50円玉1枚は10円玉5枚と同じことであると知っています。この2つの法則より、私たちは100円玉1枚は10円玉10枚と同じこと...

Together合同会社
2024年11月5日読了時間: 3分


非条件性・条件性動機付け操作 Motivating Operation(MO)
お腹が空いたからご飯を食べたい。 寒いからコタツに入りたい。 車で会社に出勤しないと行けないけどガソリンが切れたからスタンドに行きたい。 このように動機付け操作には様々なものがあります。 動機付け操作は 1)生まれながらに持っている動機付け と 2)学習して持った動機付け の2種

Together合同会社
2024年11月5日読了時間: 3分
