★Cへの戦略★ レスポンスブロッキング+リダイレクション
- Together合同会社

- 2月6日
- 読了時間: 7分
子どもが暴力をふるったり、走り去ったり、自分を傷つけそうになったり…。
そんな“危険な行動”が起きたとき、大人はどう対応すればいいのか迷いますよね。
感情的に反応してしまうと、状況が悪化することもあります。
逆に、何もしないままでは安全が守れません。
そこで役立つのが、
「レスポンスブロッキング(阻止)+リダイレクション(適切行動への方向づけ)」
というアプローチです。
まずは「落ち着いて一貫した対応」が大前提
危険な行動が起きたときに大切なのは、
⚫︎大人が落ち着いていること
⚫︎対応が毎回一貫していること
この2つです。
そのために、
危険な行動を安全に止める(レスポンスブロッキング) → すぐに適切な行動へ導く(リダイレクション)
という流れを決めておくと、現場で迷いにくくなります。
レスポンスブロッキングって何?
レスポンスブロッキングとは、「危険な行動が起きるのを物理的に止めること」です。
例:
叩かれそうなときに手をそっとガードし叩けないようにする
走り出しそうなときに進路をふさぎ走り出せないようにする
物を投げそうなときに手元を押さえて投げられないようにする
ただし、ここで重要なのは…
⚫︎保護者とこの対応について話し合い同意を得ていること(インフォームドコンセント)
⚫︎日本の法律を守ること
*身体拘束はインフォームドコンセントを得た上で「切迫性」「非代替性」「一時性」の3要件すべてを満たす緊急時にのみ例外的に使用できるものです。厚生労働省も身体的拘束等の適正化の推進をしています。詳細は行政や法律の専門家にご確認ください。
⚫︎大人が安全な危機対応の訓練を受けていること
*アメリカではSafety-Care®など危機介入トレーニングが多くあります。訓練を受けていない場合、無理に身体介入をすると、子どもも大人もケガをするリスクがあります。
ブロッキングの後は、必ず“リダイレクション”
危険な行動を止めたあと、
そのまま終わりにしてしまうと、
子どもは「じゃあどうすればよかったの?」がわかりません。
そこで必要なのが、適切な代替行動へ導くリダイレクション です。
例:
叩きそうになった → 「嫌なときは“やめて”って言おうね」
走り去りそうになった → 「移動したいときは“行ってもいい?”って聞こうね」
物を投げそうになった → 「渡したいときは“どうぞ”って言おうね」
ここでのポイントは、
危険行動の“機能(理由)”に合った代替行動を提示すること。
リダイレクション出来たら控えめな強化を
行動分析の視点では、
ブロッキングは「その行動を減らすための手続き」なので、
“弱化(punishment)”に分類されます。
だからこそ、
レスポンスブロッキングだけに頼るのではなく、
強化(reinforcement)を中心にした支援計画を必ずセットで用意すること
がとても大切です。
リダイレクションで「難しいときは“休憩したい”って言おうね」と伝え、生徒が休憩したい、と言えたら、
「言えたね。じゃあ1分休憩しよう」と適切な行動を強化しましょう。
ただし、自発的に言えたときは3〜5分休憩など、差をつけることが大切です。
レスポンスブロッキング+リダイレクションどんな場面で使うの?
レスポンスブロッキング+リダイレクションは、
以下のような“安全に関わる行動”に使われます。
攻撃(叩く・蹴る・つねる)
逸脱(走り去る・逃走)
自傷(頭を打つ・噛む・叩く)
危険物の使用
他者への危険行動
これらは、「消去」だけでは対応が難しい領域です。
まずは安全を確保し、そのうえで学びにつなげる必要があります。
行動エスカレーションプラン(Behavior Escalation Plan)を作成しよう
もし危険行動が頻繁に起きる場合は、
どの段階で何をするか
誰がどの役割を担うか
どの行動を強化するか
どの環境調整を行うか
などをまとめた
行動エスカレーションプラン(Behavior Escalation Plan)
をチームで作っておくと、現場がとても安定します。
まとめ:安全を守りながら、よりよい行動を育てるために
危険な行動が起きたとき、大人が落ち着いて一貫した対応をとれるかどうかは、子どもの安心にも直結します。
危険行動を安全に止める(レスポンスブロッキング)
すぐに適切な行動へ導く(リダイレクション)
強化を中心にした支援計画をセットで用意する
チームで共有し、一貫した対応をとる
この流れが整うと、
子どもは「どうすればよかったのか」を学び、
危険行動は少しずつ減っていきます。
レスポンスブロッキング+リダイレクション例
叩こうと手を振り上げたとき(学校)
状況
プリントが難しくてイライラし、先生を叩こうと手を振り上げる。
レスポンスブロッキング
先生は落ち着いた表情で、手の軌道にそっと手を出して自分をガードする。声を荒げず、短く「安全にするね」とだけ伝える。
リダイレクション(機能=逃避)
「難しいときは“手伝って”って言おうね」
「休憩したいときは“休憩ください”って言っていいよ」
応じたら強化(控えめ)
「言えたね。じゃあ1分休憩しよう」
※自発的に言えたときは3〜5分休憩など、差をつける。
友だちを叩こうとする(学校)
状況
順番を抜かされたと思い、友だちを叩こうとする。
レスポンスブロッキング
叩く手の前にそっと手を出して止める。
「安全にするね」と短く伝える。
リダイレクション(機能=獲得 or 注目)
「順番変わってほしいときは“次ぼく?”って聞こうね」
「嫌なときは“やめて”って言っていいよ」
応じたら強化(控えめ)
「言えたね。じゃあ順番確認しよう」
つねろうとする(家庭)
状況
お菓子を断られて怒り、つねろうとする。
レスポンスブロッキング
手をそっとガードし、「安全にするね」と伝える。
リダイレクション(機能=獲得)
「欲しいときは“お菓子ください”って言おうね」
「次に食べられる時間を聞いてもいいよ」
応じたら強化(控えめ)
「言えたね。じゃあ次の時間を一緒に決めよう」
教室から走り出そうとする(学校)
状況
苦手な課題が始まり、教室から走り出そうとする。
レスポンスブロッキング
進路に立ち、落ち着いた声で「止まるよ」と伝える。
リダイレクション(機能=逃避)
「休憩したいときは“休憩ください”って言おうね」
「難しいときは“手伝って”って言っていいよ」
応じたら強化(控えめ)
「言えたね。1分休憩しよう」
公園で走り去る(家庭)
状況
帰りたくなくて駐車場方向へ走り出す。
レスポンスブロッキング
肩に触れず、前に回り込んで進路をふさぐ。
「止まるよ」と短く伝える。
リダイレクション(機能=アクセス)
「まだ遊びたいときは“あと5分”って言ってね」
「帰る前にやりたいことを言っていいよ」
応じたら強化(控えめ)
「言えたね。じゃああと2分遊ぼう」
頭を壁に打ちつけようとする(療育)
状況
要求が通らず、壁に頭を打ちつけようとする。
レスポンスブロッキング
壁と頭の間にクッションを入れる。
身体を押さえつけない。
「安全にするね」と短く伝える。
リダイレクション(機能=逃避 or 感覚)
「嫌なときは“やめて”って言おうね」
「落ち着きたいときは“休憩ください”って言ってね」
感覚が理由なら「押したいときはこのクッションを使おう」
応じたら強化(控えめ)
「言えたね。じゃあ少し休もう」
自分の手を噛もうとする(家庭)
状況
不安が高まり、手を噛もうとする。
レスポンスブロッキング
噛む前に手の前に柔らかいタオルを差し出す。
「安全にするね」と伝える。
リダイレクション(機能=感覚)
「噛みたいときはこの咬合玩具を使おうね」
「落ち着きたいときは“休憩したい”って言ってね」
応じたら強化(控えめ)
「選べたね。いいよ、そのまま使ってね」
物を投げようとする(学校)
状況
課題を変えたくて、鉛筆を投げようとする。
レスポンスブロッキング
手元にそっと手を添えて投げる動きを止める。
「安全にするね」と伝える。
リダイレクション(機能=逃避 or アクセス)
「変えたいときは“別のにしたい”って言おうね」
「難しいときは“手伝って”って言ってね」
応じたら強化(控えめ)
「言えたね。じゃあ別の課題にしよう」
家で物を投げる(家庭)
状況
テレビを見たくて、リモコンを投げようとする。
レスポンスブロッキング
リモコンをそっと手でカバーし、「安全にするね」と伝える。
リダイレクション(機能=アクセス)
「見たいときは“テレビ見たい”って言おうね」
「時間を一緒に決めようね」
応じたら強化(控えめ)
「言えたね。じゃあ5分だけ見よう」
廊下で走り出す(学校)
状況
移動中に興奮して走り出す。
レスポンスブロッキング
前に立ち「止まるよ」と短く伝える。
リダイレクション(機能=感覚 or 注目)
「走りたいときは運動場で走ろうね」
「歩きたいスピードを言っていいよ」
応じたら強化(控えめ)
「歩けたね。ありがとう」




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