アセスメント ABC記録(ABC recording)
- Together合同会社

- 2月6日
- 読了時間: 4分
更新日:2月8日
ABC記録とは?行動の“なぜ”を見つけるための基本ツール
行動支援の現場でよく使われる「ABC記録」。
これは、子どもの行動をただ“見る”だけでなく、行動が起きる前後の流れを整理して、行動の理由(機能)を考えるための方法です。
行動には必ず理由があります。
「どうしてこの行動が起きたのか」を理解できると、支援の方向性がぐっと明確になります。
ABC記録の基本:A・B・Cとは?
ABCは次の3つの頭文字です。
A:Antecedent(先行事象)
行動が起きる直前に何があったか。
例:大人が「片づけてね」と声をかけた、友だちにおもちゃを取られた、課題が難しかった…など。
B:Behavior(行動)
実際に起きた行動そのもの。
例:泣く、叫ぶ、逃げる、叩く、座り続ける、手を挙げる…など。
C:Consequence(結果)
行動の直後に起きたこと。
例:大人が手伝った、課題が中断した、注目が集まった、おもちゃが戻ってきた…など。
この3つをセットで記録することで、行動のパターンが見えてきます。
ABC記録 2つのタイプ
ABC記述記録(ABC narrative recording)
ABC連続記録(ABC continuous recording)
ABC記述記録(ABC narrative recording)
行動が起きた場面を、エピソードとして文章でまとめる方法。
状況の流れや文脈を詳しく残したいときに便利です。
先行事象(Antecedent) | 行動(Behavior) | 結果(Consequence) |
母親が「そろそろ宿題を始めようね」と声をかけた。 | 子どもは机の下に潜り込み、「やだ!」と大声で叫んだ。 | 母親は「少し休憩してからにしよう」と言い、宿題を後回しにした。 |
先生が「みんなで輪になって歌を歌います」と活動を始めた。 | Aくんは耳をふさぎ、教室の隅に走っていった。 | 先生はAくんに「静かな場所で待っていていいよ」と伝え、活動から離れることを許可した。 |
支援者がタブレットを片づけ、「次はパズルをしよう」と提示した。 | 子どもは泣きながら支援者の手を引っ張り、タブレットの棚を指さした。 | 支援者は「タブレットが欲しいんだね」と言い、代わりに「ちょうだい」と言う練習をしてからタブレットを渡した。 |
友だちが使っていたブロックを片づけ始めた。 | Bくんは「まだ遊びたい!」と言ってブロックを奪い返した。 | スタッフが間に入り、Bくんに別のブロックを渡して落ち着かせた。 |
父親が「今日は野菜も食べようね」と皿に野菜をのせた。 | 子どもは皿を遠ざけ、泣きながら椅子から降りようとした。 | 父親は「じゃあ一口だけ食べてみよう」と要求を下げた。 |
ABC連続記録(ABC continuous recording)
行動が起きるたびに、A・B・Cをその都度記録していく方法。
頻度が高い行動や、パターンを細かく知りたいときに向いています。
先行事象(Antecedent) | 行動(Behavior) | 結果(Consequence) |
☐ 注意がそらされた ☒ 好きな物・活動が取り上げられた ☐ 課題/物が提示された ☐ かかわりがあった ☐ 特に変化なし | ☒ かんしゃく ☐ 身体的攻撃 ☐ 自傷行動 | ☐ 注意が与えられた ☐ 注意がそらされた ☒ 好きな物・活動が与えられた ☐ 課題/物が取り除かれた ☐ 叱責 ☐ タイムアウト |
| ☐かんしゃく ☐ 身体的攻撃 ☒自傷行動 | ☒ 注意が与えられた ☐ 注意がそらされた ☐ 好きな物・活動が与えられた ☒ 課題/物が取り除かれた ☐ 叱責 ☐ タイムアウト |
☐ 注意がそらされた ☒ 好きな物・活動が取り上げられた ☒ 課題/物が提示された ☒ かかわりがあった ☐ 特に変化なし | ☐ かんしゃく ☒ 身体的攻撃 ☐ 自傷行動 | ☒ 注意が与えられた ☐ 注意がそらされた ☐ 好きな物・活動が与えられた ☒ 課題/物が取り除かれた ☐ 叱責 ☐ タイムアウト |
行動の機能4つ
注目(Attention)
大人や周囲の人からの注目を得るために起きる行動。
例
名前を呼んでもらいたくて大声を出す
忙しい大人に構ってほしくて叩く
友だちの気を引きたくてふざける
ポイント
「叱る」「注意する」も“注目”として機能することが多いです。
逃避・回避(Escape/Avoidance)
嫌なこと・難しいこと・負担のある状況から逃れたいときに起きる行動。
例
宿題を避けたくて泣く
苦手な音から逃げたくて走り出す
片づけをしたくなくて床に寝転ぶ
ポイント
行動のあとに「課題がなくなる」「要求が下がる」と、逃避機能が強化されます。
獲得 (物・活動の入手, Access to Tangibles)
欲しい物や活動を手に入れるために起きる行動。
例
お菓子が欲しくて泣く
タブレットを取りたくて叩く
好きなおもちゃを返してほしくて叫ぶ
ポイント
「欲しい物が手に入る」ことで行動が強化されます。
自動強化(Automatic/Sensory)
感覚的な心地よさ・刺激を得るために起きる行動。
または、不快な感覚を減らすために起きる行動。
例
手をひらひらさせて感覚を楽しむ
体を揺らして落ち着く
かゆみを減らすために同じ場所をこする
ポイント
周囲の反応とは関係なく、行動そのものが強化になっています。
ABC記録を使用し行動の機能を探る理由
行動の背景が見える
支援の方向性が明確になる
チームで情報共有しやすくなる
感覚ではなく“データ”で判断できる
行動支援のスタート地点として、とても頼りになるアセスメントです。



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