行動カスプ(Behavioral cusp)とピボタル行動(Pivotal behavior)
- Together合同会社

- 5 日前
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行動カスプ(Behavioral cusp)とは?
行動カスプとは、ある行動を習得することで、その人の世界が一気に広がる現象 のことを指します。
単に「できることが増える」というだけではなく、 新しい環境・新しい経験・新しい強化子にアクセスできるようになる という、大きな変化をもたらす行動のことです。
Rosalez-Ruiz & Baer(1997)は、行動のカスプを次のように説明しています。
新しい行動を学ぶことで、これまでアクセスできなかった環境や強化子、条件、場面に触れられるようになる現象。
つまり、 「その行動を覚えた瞬間、人生の選択肢が一気に増える」 そんな行動のことです。
行動カスプの例:赤ちゃんのハイハイ
赤ちゃんがハイハイを覚えると、
行ける場所が増える
触れられるものが増える
新しい経験が増える
これらはすべて、ハイハイという行動が“世界を広げた”結果です。 まさに行動のカスプの典型例です。
行動カスプの例:子どもが「文字を読む」ことを覚えたとき
子どもが「文字を読む」ことを覚えると、彼の世界は一気に広がります。
本を読んで楽しめる
家具の組み立て説明書を読める
友人や家族からのメールを読める
お店までの道順を読める
学校の課題を自分で理解できる
“読む”という1つの行動が、生活のあらゆる場面に影響を与える のです。
これが行動のカスプの力です。
行動のカスプは、支援の優先順位を考えるヒントになる
支援や教育の現場では、 「どのスキルから教えるべきか」 という悩みがつきものです。
そんなとき、行動のカスプという視点はとても役立ちます。
このスキルを覚えたら、どんな新しい世界が開けるだろう
この行動は、他のスキルの土台になるだろうか
この行動ができるようになると、本人の選択肢は増えるだろうか
こうした問いを立てることで、 その人の未来を大きく広げるスキルを優先的に教える という判断がしやすくなります。
Pivotal behavior(ピボタル行動)とは?
ピボタル行動とは、 ある行動を習得することで、教えていない別の行動にも自然に反応できるようになる行動 のことを指します。
つまり、 「1つの行動が、次の行動を引き出す“軸(pivot)”になる」 というイメージです。
ピボタル行動は、単に「できることが増える」というだけではありません。
その行動をきっかけに
新しい行動が連鎖的に生まれ
本人が自然にその行動に反応できるようになる
という、行動の広がり を生み出す重要な行動です。
ピボタル行動の例:
●「相手を見る(アイコンタクト)」
→ 相手の表情を読む → ターンテイキングが生まれる → 会話のタイミングが合う → 社会的やり取りが増える
●「自分から話題を出す(イニシエーション)」
→ 会話が続く → 相手の反応に合わせて返答が変わる → 新しい語彙を使う機会が増える
●「質問に答える」
→ 会話のキャッチボールが成立 → 相手の質問意図を理解する力が育つ → 自分から質問する行動につながる
●「ジェスチャーで要求する」
→ 要求が通る経験が増える → 言語での要求にも広がる → 問題行動の減少につながる
ピボタル行動が大切な理由
ピボタル行動は、支援や教育の場面でとても重要です。
なぜなら、 1つの行動を教えることで、複数の新しい行動が自然に広がる 可能性があるからです。
たとえば:
「質問に答える」ができるようになると、会話が続く
「相手を見る」ができると、社会的なやり取りが増える
「自分から話題を出す」ができると、コミュニケーションの幅が広がる
このように、ピボタル行動は 他のスキルの土台 になることが多いのです。
行動カスプとピボタル行動の違いは?
行動カスプとピボタル行動は似た概念です。
行動カスプ:その行動を覚えることで“新しい環境や経験”にアクセスできる
ピボタル行動:その行動を覚えることで“新しい行動が自然に広がる”
どちらも「行動が広がる」という点では共通していますが、 カスプは“環境の広がり”、 ピボタル行動は“行動の広がり” に焦点があります。
まとめ:行動カスプやピボタル行動は広がりを生む
行動カスプやピボタル行動とは、 1つの行動が次の行動や環境を引き出し、自然に次のスキルの向上につながります。
こうしたスキルは、コミュニケーションや社会的関わりを豊かにする大切な土台になります。
支援や教育の場面で行動カスプやピボタル行動の概念を意識することで、 「どのスキルを優先して教えるべきか」 という判断がより明確になり、 その人の行動の広がりをサポートしやすくなります。







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