弱化と消去の副作用
- ABAスクールTogether

- 19 時間前
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ABAでは、問題行動を減らす方法として 弱化(Punishment) や 消去(Extinction) が選択肢に入る場合があります。 しかし、これらの手続きには 強い副作用 があり、使い方を誤ると状況が悪化することもあります。
弱化を使ったら攻撃行動が増えた
消去を始めたら行動が激しくなった
別の場面で問題行動が増えた
子どもが支援者を避けるようになった
こうした現象は、ABAの現場で非常に起こりやすいことです。今日は、弱化と消去の副作用の特徴と予防策をわかりやすく紹介します。
弱化の副作用
弱化は即効性がある一方で、次のような副作用が起こりやすい。
✔ ① 弱化を行う人を避ける(Avoidance)
弱化を使うと、 行動ではなく“人”を避けるようになることがある。
例
先生が叱る → 子どもが先生を避けるようになる
✔ ② 効果が一時的(Temporary Effect)
弱化はその場では効くが、 長期的な行動変化にはつながりにくい。
✔ ③ 不適切な般化(Inappropriate Generalization)
ターゲット行動だけでなく、 適切な行動まで減ってしまうことがある。
例
「大声を出さないで」と叱られる → 話すこと自体が減る
✔ ④ 攻撃行動の増加
弱化は怒りや反発を生み、 叩く・蹴る・物を投げるなどの攻撃行動が増えることがある。
✔ ⑤ 情動反応(Emotional Responses)
泣く
怒る
逃げる
固まる
など、強い感情反応が出ることがあります。
✔ ⑥ 弱化を模倣する(Imitation)
大人が弱化を使うと、 子どもも同じように他者に弱化を使うことがあります。
✔ ⑦ 行動対比(Behavioral Contrast)
弱化を使った場面では問題行動が減るが、 別の場面でその問題行動が増えることがあります。
✔ ⑧ 弱化をやめると行動が戻る(Recovery)
弱化を中断すると、 問題行動が元のレベルに戻ることがある。
消去の副作用
消去は問題行動を維持している強化を取り除く手続きです。 しかし、これも強い副作用があります。
✔ ① 消去バースト(Extinction Burst)
行動が一時的に 激しくなる・増える。
例
叫んでもお菓子がもらえなくなる → 叫びが大きくなる、叩く、泣き叫ぶ
✔ ② 反応のバリエーション(Response Variation)
新しい行動が出る。 不適切なものも出る。
✔ ③ 反応強度の増加(Magnitude Increase)
声が大きくなる
叩く力が強くなる
持続時間が長くなる
など、行動が“強く”なる。
✔ ④ 自発的回復(Spontaneous Recovery)
一度減った行動が、 時間が経つと再び出ることがある。
✔ ⑤ リサージェンス(Resurgence)
代替行動も消去されると、 元の問題行動が戻る。
例
B1:叫ぶ → 無視 B2:「ちょうだい」と言う → 強化 ↓ B2も無視される ↓ B1(叫ぶ)が復活
✔ ⑥ 情動反応・攻撃行動
泣く
叫ぶ
叩く
物を投げる
など、強い感情反応が出る。
✔ ⑦ 行動対比(Behavioral Contrast)
ある場面で問題行動を消去すると、 別の場面でその問題行動が増える。
✔ ⑧ 望ましい行動まで消えてしまう(Unintentional Extinction)
強化のタイミングが悪いと、 本来強化したい行動が消えてしまうことがある。
消去と弱化の副作用を防ぐための基本原則
弱化は最終手段であり、基本的には使用しない。使用する場合は組織として介入計画を立て、保護者への同意を得て、法的・倫理的な側面を十分に検討すること。
消去は段階的に、情動反応を予測して実施する。使用する場合は組織として介入計画を立て、保護者への同意を得て、法的・倫理的な側面を十分に検討すること。
代替行動(DRA)を必ずセットで教える
適切な行動に対し強化を行う
行動が起こるすべての場面で一貫性を持つ
子どもの安全と感情を最優先にする
記録を取り、必要に応じて手続きを調整する
まとめ:弱化と消去は“強力だからこそ慎重に”
弱化も消去も、使い方を誤ると、
行動が悪化したように見える
子どもが支援者を避ける
感情が荒れる
別の場面で行動が増える
といった副作用が起こります。だからこそ、 副作用を理解し、予測し、丁寧に対応することが大切です。
【問題1】
先生が「大声を出したら5分間の休憩なし」という弱化手続きを導入したところ、子どもは大声を出す頻度は減ったが、授業中に先生の近くに行かなくなり、話しかけられても目を合わせなくなった。 このとき最も可能性が高い副作用はどれか。
A. 不適切な般化
B. 弱化を行う人物の回避
C. 行動対比
D. 自発的回復
正解:B
解説: 弱化は 行動ではなく“弱化を行う人”を避ける 副作用が起こりやすい。
【問題2】
これまで「お菓子ちょうだい!」と叫ぶとお菓子がもらえていた子どもに対し、支援者は消去を導入した。すると、叫び声が大きくなり、泣き叫び、床を叩く行動が増えた。 この現象として最も適切なのはどれか。
A. 消去バースト(反応強度の増加)
B. 行動対比
C. 不適切な般化
D. リサージェンス
正解:A
解説: 強化が得られなくなると、行動が一時的に激しくなる(消去バースト)。 同時に 強度・音量・持続時間が増えることも典型的。
【問題3】
「廊下を走ったら休憩なし」という弱化を導入したところ、子どもは廊下を走らなくなったが、教室内でも動くことを極端に避け、必要な場面でも立ち上がらなくなった。 この副作用として最も適切なのはどれか。
A. 不適切な般化
B. 行動対比
C. 自発的回復
D. 反応バリエーション
正解:A
解説: 弱化はターゲット行動だけでなく、関連する適切な行動まで減ってしまうことがある。
【問題4】
叫ぶ行動(B1)を消去し、「ちょうだい」と言う行動(B2)を強化していた。 しかし、支援者が忙しくなり、B2に対する強化が一時的に止まったところ、再び叫ぶ行動(B1)が増えた。 この現象として最も適切なのはどれか。
A. 自発的回復
B. 行動対比
C. リサージェンス
D. 不適切な般化
正解:C
解説: 代替行動(B2)も消去されると、元の問題行動(B1)が復活する。これがリサージェンス。
【問題5】
「叩いたら5分間の遊びなし」という弱化を導入したところ、叩く行動は減ったが、代わりに物を投げる・大声で怒鳴るなどの攻撃行動が増えた。 このとき最も適切な説明はどれか。
A. 行動対比
B. 反応バリエーション
C. 弱化による情動反応・攻撃行動の誘発
D. 自発的回復
正解:C
解説: 弱化は怒りや不安を生み、攻撃行動が増える副作用がある。






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