強化の副作用
- ABAスクールTogether

- 19 時間前
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ABAでは、望ましい行動を増やすために 強化(Reinforcement) を使用します。 しかし、強化は万能ではなく、使い方によっては副作用が起こることがあり、使用には注意が必要です。
強化子に飽きて効かなくなる
強化がない場面で行動が出にくい
強化がないと行動が出なくなる
強化のタイミングがズレて問題行動を強化してしまう
SD(合図)に依存して自然場面で行動が出ない
こうした現象は、ABAの現場で非常によく起こります。
今日は、強化の副作用に限定して、その原因と予防策をわかりやすく紹介します。
1. 強化子の飽和(Satiation)
同じ強化子を使い続けると、 その強化子の価値が下がって効かなくなることがあります。
✔ 例
毎回同じお菓子 → 最初は喜ぶが、だんだんやる気が下がる
✔ 予防策
強化子をローテーションする
少量で提供する
自然な強化子(達成感・承認)へ移行していく
2. 強化子が“気を散らす”
強化子そのものが刺激になり、 課題より強化子に注意が向いてしまうことがある。
✔ 例
シールを渡した瞬間に遊び始めてしまい、課題に戻れない
✔ 予防策
強化のタイミングを調整する
強化子の種類を見直す
課題と強化子の切り替えを練習する
3. 行動の“対比効果(Behavioral Contrast)”
対比効果(Behavioral Contrast)とは、ある場面での強化を変えると、 別の場面で行動が増えたり減ったりする現象です。
✔ ポジティブ対比
A場面で行動を減らす → B場面で行動が増える
例: 家で問題行動を注意される → 学校でその問題行動が増える
✔ ネガティブ対比
A場面で強化を増やす → B場面で行動が減る
例: 療育で褒められる → 家ではやらなくなる
✔ 予防策
行動が起こるすべての場面で一貫した対応
家庭・学校・支援者間での連携
4. “不自然な強化”に依存してしまう
トークンや特別なご褒美ばかり使うと、 自然場面で行動が出にくくなる。
✔ 例
「ご褒美がないとやらない」状態になる
✔ 予防策
自然な強化子(達成感・結果・承認)へ移行
ご褒美は徐々に薄める(スケジュール・シンニング)
5. 行動の“幅が狭くなる”
強化する行動が限定されすぎると、 バリエーションが減る。
✔ 例
「乗り物を言ってね」→ 毎回「電車」しか言わない
✔ 予防策
複数の反応を強化する
6. SD(合図)に“影が落ちる(Shadowing)”
訓練場面のSDにだけ反応し、 自然場面のSDでは行動が出ない。
✔ 例
療育の先生の指示には従うが、家では従わない
✔ 予防策
自然なSDに移行する
般化を促すプログラムを実施する
7. 強化のタイミングがズレて“望ましくない行動”を強化してしまう
✔ 例
課題を終えたあとに机を叩く → その直後に強化子を渡す → 机を叩く行動が強化されてしまう
✔ 予防策
強化は“望ましい行動の直後”に
問題行動が出る前に強化を渡す
まとめ:強化は強力だからこそ、副作用を理解して使う
強化はABAの中心的な技術。 しかし、使い方を誤ると…
行動が別の場面で変化する
自然場面で行動が出なくなる
バリエーションが減る
問題行動を強化してしまう
といった副作用が起こる場合があります。
だからこそ、 強化の副作用を理解し、予防しながら使うことを意識しましょう。
【問題1】
支援者は「計算問題を1ページ終えたらラムネ1粒」を強化として使っていた。しかし数日後、子どもは計算を終えてもラムネを受け取らず、課題への取り組みも低下した。 このとき最も可能性が高い副作用はどれか。
A. ポジティブ行動対比
B. 強化子の飽和
C. SDの影落ち(Shadowing)
D. 不自然な強化への依存
正解:B
解説: ラムネの価値が下がり、強化子として機能しなくなった(飽和)と考えられる。
【問題2】
家庭では「片付け」を強化していたが、学校では特に介入していなかった。すると、家庭で片付けが増える一方、学校では片付け行動が大きく減った。 この現象として最も適切なのはどれか。
A. ネガティブ行動対比
B. ポジティブ行動対比
C. 強化子の飽和
D. SDの影落ち
正解:A
解説: 家庭(強化あり)で行動が増え、学校(強化なし)で行動が減る → ネガティブ行動対比。
【問題3】
支援者は「トークン10枚で好きな動画が見られる」という強化を使っていた。すると、子どもはトークンがない場面では全く課題に取り組まなくなった。 このとき最も適切な説明はどれか。
A. 強化子の飽和
B. 不自然な強化への依存
C. SDの影落ち
D. 行動のバリエーション低下
正解:B
解説: トークンという 自然場面に存在しない強化子に依存してしまい、自然な強化では行動が出なくなっている。
【問題4】
「乗り物の名前を言う」課題で、支援者は“電車”と答えたときだけ強化していた。すると、子どもは毎回“電車”しか言わなくなり、他の乗り物名を言わなくなった。 この副作用として最も適切なのはどれか。
A. 行動のバリエーション低下
B. SDの影落ち
C. ポジティブ行動対比
D. 強化子の飽和
正解:A
解説: 特定の反応だけを強化すると、反応クラスが狭まり、バリエーションが減る。
【問題5】
療育では「先生が“片付けてね”と言うと片付けられる」ようになったが、家庭では母親が同じ指示をしても片付けられなかった。 この現象として最も適切なのはどれか。
A. 強化子の飽和
B. SDの影落ち
C. 不自然な強化への依存
D. ネガティブ行動対比
正解:B
解説: 訓練場面のSD(先生の声)にだけ反応し、自然場面のSD(母親の声)に反応が転移していない。
【問題6】
子どもが課題を終えた直後に机を叩き、その後で支援者が強化子を渡していた。すると、机を叩く行動が増えてしまった。 このとき最も適切な説明はどれか。
A. 強化子の飽和
B. 行動対比
C. 望ましくない行動が強化された
D. SDの影落ち
正解:C
解説: 強化のタイミングが遅れたため、机を叩く行動が強化されてしまった。






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