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維持(Maintenance)

  • 執筆者の写真: ABAスクールTogether
    ABAスクールTogether
  • 2月11日
  • 読了時間: 6分

更新日:2月13日

ABAでは、行動を“できるようにする”ことと同じくらい、 できるようになった行動を維持することがとても大切です。


  • 一度できるようになったのにまた出来なくなってしまう

  • 強化がなくなるとすぐ消えてしまう


こうした悩みは、実はとてもよくあること。 そこで必要になるのが 維持(Maintenance) の考え方です。



1. 維持とは?


維持とは、 教えた行動が、時間が経っても続くこと


  • 教室 → 家

  • 支援者 → 家族

  • トークン → 自然な強化

  • 練習場面 → 日常場面

上記のように場所や場面が変わっても行動ができるようになることを般化と言いますが、維持とは「時間の般化」と言われています。


時間が経っても行動が安定して続く状態を目指します。



2. 行動を維持するための3つの柱


ABAでは、行動を維持するために次の3つの方法を使います。


① フェイディング(Fading)

— プロンプトや支援を少しずつ減らす


行動ができるようになっても、 支援が強すぎると 支援がないとできない状態 になってしまう。

だから、

  • 言語プロンプトを短くする

  • 身体プロンプトを弱くする

  • 視覚支援を小さくする

  • 合図を自然なものに近づける

など、支援を段階的に薄くしていくことが重要。



② 強化スケジュールのシンニング(Schedule Thinning)

— 強化の頻度を徐々に減らす


最初は

  • 毎回ほめる

  • 毎回トークンを渡す

  • 毎回ごほうびが出る

でも、これをずっと続けるのは現実的ではない。


そこで、

  • 1回ごと → 3回に1回

  • 5分ごと → 15分ごと

  • 1ページごと → 3ページごと

のように、強化の間隔を少しずつ広げていく

これが「スケジュール・シンニング」。



③ 自然な強化子への移行(Transfer to Natural Reinforcers)

— ごほうびから“自然な喜び”へ


最終的に目指すのは、 外からのごほうびがなくても行動が続く状態

たとえば…

  • 勉強 → 点数が上がる喜び

  • 手伝い → 家族に感謝される

  • 会話 → 相手とつながれる

  • 運動 → 体が軽くなる

こうした 自然に起こる強化 に行動をつなげていく。


維持のためのモニタリング


行動は一度できるようになっても、 時間が経つと自然に減ってしまうことがある


だから、

  • 定期的にチェック

  • データを取る

  • 必要なら微調整

この“見守り”がとても大切。



例:15歳のAちゃんのケース

Aちゃんは「45分間集中して勉強する」ことを目標にしていた。

支援者は次のように維持を進めた。

✔ フェイディング

最初は細かく声かけ → 徐々に減らす

✔ スケジュール・シンニング

5分ごとにトークン → 45分に1回へ

✔ 自然な強化子

  • 成績が上がる

  • 先生に褒められる

  • 自分で達成感を感じる

こうした自然な強化が行動を支えるようになった。

✔ 般化

  • 図書館

  • 学校 どこでも集中できるように練習。

✔ モニタリング

2週間ごとにデータを見て達成が継続できているか確認。状況に応じて上記の戦略を調整。



まとめ:行動は“教えた後”が本当のスタート


行動を教えることはゴールではなく、 日常で続くようにすることが本当のゴール

そのために必要なのは…

  • 支援を減らす(フェイディング)

  • 強化を減らす(スケジュール・シンニング)

  • 自然な強化につなげる

  • 複数の場面で練習する(般化)

  • 定期的にチェックする(維持の確認)

この5つを丁寧に積み重ねることです。



【問題1】

子どもが「宿題を始める」行動を維持するため、支援者は最初は「そろそろ宿題しようね」と毎回声かけしていたが、徐々に「宿題の時間だよ」→「時間になったね」→ 無言で時計を指す、というように支援を弱めていった。 この手続きとして最も適切なのはどれか。


A. スケジュール・シンニング

B. フェイディング

C. 自然な強化子への移行

D. 般化


正解:B  

解説:   プロンプト(声かけ)を 段階的に弱めている ためフェイディング。



【問題2】

「10分間集中して読書する」行動を維持するため、支援者は最初は 1分ごとにトークン を渡していたが、徐々に 3分ごと → 5分ごと → 10分ごと と強化の間隔を広げていった。 この手続きとして最も適切なのはどれか。


A. フェイディング

B. スケジュール・シンニング

C. 自然な強化子への移行

D. 反応努力の軽減


正解:B  

解説:   強化の頻度を 徐々に減らしている ため、スケジュール・シンニング。




【問題3】

子どもは「掃除を手伝う」とトークンがもらえるため頑張っていたが、支援者は徐々にトークンを減らし、代わりに「部屋がきれいになる気持ちよさ」や「家族に感謝される経験」を強調していった。 このときの目的として最も適切なのはどれか。


A. 外的強化子を増やす

B. 自然な強化子へ移行し、行動を維持する

C. 行動の般化を促す

D. チェイニングを強化する


正解:B  

解説:   外的なごほうびから 自然に起こる強化(達成感・感謝) に移行させることで、行動が長期的に維持される。




【問題4】

「挨拶する」行動ができるようになった子どもが、 ・学校 ・家 ・放課後デイ ・近所の人 など、複数の場面・相手でも挨拶できるようになった。 この現象として最も適切なのはどれか。


A. 維持

B. 般化

C. スケジュール・シンニング

D. フェイディング


正解:B  

解説:   複数の場面・相手で行動が出るのは 般化。 維持は「時間が経っても続くこと」。



【問題5】

「45分間の学習」ができるようになった子どもについて、支援者は2週間ごとにデータを確認し、もし集中が落ちてきたら強化スケジュールを少し戻すなどの調整を行っている。 この支援の目的として最も適切なのはどれか。


A. 行動の獲得を促す

B. 行動の般化を促す

C. 行動の維持を確実にする

D. チェイニングの精度を上げる


正解:C  

解説:   定期的なモニタリングは 維持が崩れないようにするための調整



【問題6】

「片付け」ができるようになった子どもが、トークンがなくなった途端に片付けをしなくなった。 このとき最も考えられる問題はどれか。


A. フェイディングが早すぎた

B. スケジュール・シンニングが不十分だった

C. 自然な強化子への移行ができていなかった

D. タスクアナリシスが間違っていた


正解:C  

解説:   外的強化(トークン)だけに依存していたため、 自然な強化子(片付け後の快適さ・達成感)に結びついていなかった可能性が高い。



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