ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)
- ABAスクールTogether

- 3 日前
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近年、発達支援・教育・福祉の分野で急速に広がっている概念があります。 それが ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性) です。
「発達障害を“治す”のではなく、“多様性として尊重する”」
というこの考え方は、世界中で注目され、学校・企業・行政にも広がりつつあります。
この記事では、ニューロダイバーシティとは何か、なぜ今重要なのか、そして支援の現場でどう活かせるのかをわかりやすく解説します。
1. ニューロダイバーシティとは?
ニューロダイバーシティとは、
脳の働き方や認知のスタイルには本来多様性があり、発達特性は“欠陥”ではなく“人間の自然なバリエーション”である
という考え方です。
この概念は、1990年代に自閉スペクトラムの当事者である ジュディ・シンガー(Judy Singer) によって提唱されました。 その後、学術界・教育・福祉・企業などで広く受け入れられ、国際的なムーブメントへと発展しています。
2. ニューロダイバーシティが大切にする2つの視点
① 発達特性を「障害」ではなく「多様性」として捉える
ASD、ADHD、SLD、DCD などの特性を 「欠けている」「普通ではない」とみなすのではなく、 “人間の自然な違い”として尊重する という視点です。
② 個人を社会の標準に合わせるのではなく、社会の側が調整する
従来の支援は「標準に近づける」ことが目的になりがちでした。 しかしニューロダイバーシティでは、
社会
学校
職場
家庭環境
など 環境の側が多様性を受け入れ、調整する ことを重視します。「環境を変える支援」が中心になるのが大きな特徴です。
3. DSM-5-TR™ の「神経発達症」との違いは?
ここでよくある疑問が、
「DSM の“神経発達症”と、ニューロダイバーシティは矛盾しないの?」
というものです。
● DSM-5-TR™ は“医学的分類”
DSM-5-TR™ では、神経発達症を 「発達上の欠如(deficits)」 「機能障害(impairments)」 という言葉で説明します。
これは、支援の必要性を明確にするための“医学モデル”です。
● ニューロダイバーシティは“価値観・理念”
一方でニューロダイバーシティは、 「人の価値は診断名では決まらない」 という倫理的・社会的な視点です。
● 両者は対立ではなく「役割が違う」
DSM:支援の必要性を可視化するための地図
ニューロダイバーシティ:その人の価値を尊重するための哲学
この2つを組み合わせることで、 「診断名で決めつけず、必要な支援はしっかり届ける」 という現代的な支援が可能になります。
4. なぜ今、ニューロダイバーシティが注目されているのか?
背景には、次のような社会的変化があります。
発達特性のある人の 権利擁護(advocacy) の広がり
ASD・ADHD 当事者による 自己理解・自己発信の増加
企業での ダイバーシティ&インクルージョン(D&I) の推進
学校での インクルーシブ教育 の拡大
医学モデルから 社会モデル への転換 (障害は個人ではなく、環境との相互作用で生じるという考え方)
つまり、ニューロダイバーシティは 社会の構造を変えていくための実践的な理念でもあるのです。
5. 発達支援におけるニューロダイバーシティの活かし方
● ① 行動を「問題」ではなく「特性」として理解する
「こだわりが強い」→ 安心感を得るための行動
「落ち着きがない」→ 刺激への反応が強い脳の特性
● ② 環境調整を優先する
予測可能なスケジュール
感覚刺激の調整
コミュニケーション手段の多様化
選択肢を増やす
● ③ 本人の強みを中心に支援を組み立てる
興味
得意な認知スタイル
モチベーションの源泉
● ④ 本人の尊厳と主体性を守る
「できないことを直す」のではなく、 「その人らしさを活かす」 支援へ。
6. まとめ:ニューロダイバーシティとは?
発達特性は「欠けている」のではなく「多様性」
社会の側が環境を調整し、包摂する
DSM の医学モデルと対立するものではなく、補完し合う
支援のゴールは「普通に近づける」ことではなく、 その人が自分らしく生きられる環境をつくること
【問題1】
ASDの子どもが授業中に席を立ちやすい場合、ニューロダイバーシティの考え方に基づく最適な支援はどれか。
A:席を立つ行動を問題行動としてペナルティを使用し改善する
B:席を立たないよう繰り返し注意し、標準的な行動に近づける
C:授業中に立つ行動はすべて許可し、完全に放任する
D:席を立つ理由(感覚刺激・不安・集中の波)を理解し、環境調整を行う
正解:D
解説:ニューロダイバーシティでは、行動を「問題」ではなく「特性」として理解し、環境側の調整を優先する。
【問題2】
ニューロダイバーシティの理念に最も合致する説明はどれか。
A:発達特性は診断名によって支援内容が完全に決まる
B:発達特性は社会生活に適応できないため矯正が必要である
C:発達特性は人間の自然な多様性の一つとして尊重されるべきである
D:発達特性は治療によって標準に近づけるべきである
正解:C
解説:ニューロダイバーシティは「欠如」ではなく「多様性」として発達特性を捉える立場をとる。
【問題3】
ADHDの子どもが宿題に取り組めない理由の理解として最も適切なのはどれか。 例:宿題を前にすると動き回ってしまう。
A:親のしつけが不十分なため
B:宿題をする能力が根本的に欠けているため
C:脳の特性として注意の切り替えやワーキングメモリに困難があるため
D:意欲が低く、怠けているため
正解:C
解説:ニューロダイバーシティでは、行動の背景にある「脳の特性」を理解し、怠惰や性格の問題として扱わない。
【問題4】
ニューロダイバーシティの理念に基づく学校環境の調整として最も適切なのはどれか。
A:特性のある児童には標準的な学習方法に慣れるまで反復練習を課す
B:学び方の選択肢(視覚支援・休憩スペース・感覚調整)を用意する
C:特性のある児童だけ別室に移し、通常学級から切り離す
D:全員が同じ方法で学べるよう、個別の調整は行わない
正解:B
解説:ニューロダイバーシティは「環境側が多様性を受け入れる」ことを重視し、学び方の選択肢を広げる。
【問題5】
ニューロダイバーシティの理念とDSM-5-TR™の関係として最も適切なのはどれか。
A:ニューロダイバーシティは診断名を否定し、診断を使った支援を禁止する
B:DSMは価値観の枠組みであり、ニューロダイバーシティは医学的分類である
C:両者は完全に矛盾し、同時に用いることはできない
D:DSMは支援の必要性を可視化する“地図”、ニューロダイバーシティは“価値観”として補完し合う
正解:D
解説:DSMは「支援の必要性を示す分類」、ニューロダイバーシティは「人の価値を尊重する理念」。役割が異なるため両立できる。
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