行動の操作的定義
- ABAスクールTogether

- 3月13日
- 読了時間: 5分
更新日:3月16日

操作的定義とは、行動を観察可能・測定可能・明確な言葉で記述する方法です。
操作的定義を設定する目的は、行動を客観的に扱い、支援者間で共通理解をつくること。
行動分析では、次の3つを満たすことが重要とされいます。
観察可能:目で見て確認できる
測定可能:回数・時間・頻度などで記録できる
明確:誰が見ても同じ判断ができる
この3つを満たすことで、行動は“科学的に扱えるデータ”となります。
なぜ操作的定義が必要なのか
操作的定義がないと、支援は主観的になり、再現性が失われてしまいます。
操作的定義がないと起きる問題
支援者ごとに「できた/できない」の判断がバラバラ
本人に求める行動が曖昧で、指導が伝わりにくい
データが取れず、介入の効果が評価できない
チームでの共有が困難になる
操作的定義があると
行動が“見える化”され、誰でも同じ基準で判断できる
本人にとっても「何をすればいいか」が明確
データが取れるため、支援の改善がしやすい
チーム全体で一貫した支援ができる
操作的定義の3つの要素
行動を操作的に定義するときは、次の3点を含めると精度が高まります。
1. 行動の具体的な形(topography)
行動がどのように見えるかを具体的に書く。 例:
「手を挙げる」→「右手を肩より上にまっすぐ上げる」
「話す」→「声を出して5語以上の文を発する」
2. 行動が起こる条件(context)
いつ・どこで・どんな場面で行う行動なのか。 例:
「授業中、教師が質問したとき」
「自由遊びの時間に友達が近づいたとき」
3. 行動の測定方法(measurement)
回数・時間・頻度・割合など、どう記録するか。 例:
「10分間で手を挙げた回数」
「課題開始から終了までの着席時間」
操作的定義の例(ビフォー/アフター)
あいまいな表現(NG) | 操作的定義(OK) |
落ち着いている | 椅子に座り、両足を床につけ、手は机の上に置いた状態が3分以上続く |
静かにする | 教師の説明中、口を閉じ、声を出さずに前を向いている |
ちゃんと聞く | 教師の方向を向き、30秒以内に1回うなずく、または「はい」と返事をする |
友達と仲良くする | 自分から友達に「一緒に遊ぼう」と声をかける、または遊びに誘われたら「うん」と返事する |
操作的定義と「死人テスト」の関係
操作的定義をつくるとき、死人テストはとても役立ちます。
「黙っている」「落ち着く」「笑わない」などは死人でもできる
つまり、行動として扱えない
操作的定義に書き換えることで、支援可能な“生きた行動”になる
例:
「黙っている」→「説明中、口を閉じて前を向いている」
「笑わない」→「口角を上げて笑顔をつくる」
死人テストは、操作的定義の“フィルター”として機能します。
操作的定義をつくるときのコツ
動詞を具体化する(する/できる → どうする?)
状態語を避ける(落ち着く・静か・しっかりなど)
否定形を避ける(〜しない → 何をしてほしい?)
誰が見ても同じ判断になるか確認する
データが取れるかを考える
まとめ
ABAの操作的定義は、行動を“誰でも同じように理解できる形”にする技術です。
観察可能・測定可能・明確であることがポイントで、 支援の質、データの信頼性、チームの一貫性を大きく高めてくれます。
支援のスタート地点は、行動の定義から。 操作的定義が整うと、介入も評価もぐっとやりやすくなります。
【問題1】
次のうち、操作的定義として最も適切なのはどれか?
A:しっかり聞く
B:落ち着いている
C:教師の説明中、口を閉じて前を向いている
D:静かにする
正解:C
解説:観察可能・測定可能・明確であり、誰が見ても同じ判断ができる。
【問題2】
次のうち、操作的定義として不適切なものはどれか?
A:授業中、質問されたら3秒以内に「はい」と返事する
B:友達に「一緒に遊ぼう」と声をかける
C:落ち着いた状態になる
D:10分間で書字した文字数を数える
正解:C
解説:「落ち着いた状態」は状態語で曖昧。観察可能な行動ではない。
【問題3】
次のうち、操作的定義に書き換える必要がある表現はどれか?
A:黒板に向かって右手を肩より上に挙げる
B:静かにする
C:課題開始から終了までの着席時間を測定する
D:教師の指示でプリントを机に置く
正解:B
解説:「静かにする」は曖昧で、死人テストにも不合格。行動として定義できない。
【問題4】
次のうち、操作的定義として最も不十分なものはどれか?
A:5分間で3回以上、友達に話しかける
B:授業中、机に向かって書字する
C:自由遊びの時間に、ブロックを10個積む
D:教師の合図で手を挙げる
正解:B
解説:「書字する」は行動だが、どの程度・どんな形で・どの場面かが不明確。
【問題5】
次のうち、操作的定義として適切に書き換えられているものはどれか?
A:落ち着く → 落ち着いた状態になる
B:ちゃんと聞く → 教師の方向を向き、30秒以内に1回うなずく
C:静かにする → 静かにしている
D:友達と仲良くする → 仲良くするようにする
正解:B
解説:観察可能・測定可能で、行動の形が明確に示されている。
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