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DSM-5-TR™ における「発達障害(神経発達症)」

  • 執筆者の写真: ABAスクールTogether
    ABAスクールTogether
  • 3 日前
  • 読了時間: 5分

発達支援に関わっていると、「DSM-5-TR™」という言葉を耳にすることが増えてきました。 これはアメリカ精神医学会(APA)が発行する、精神疾患の国際的な診断基準です。


その中で「発達障害」は “神経発達症(Neurodevelopmental Disorders)” というカテゴリーとして整理されています。 

「障害(disorder)」という語を外し、個人の特性としての症状・行動傾向を示すために「神経発達症(Neurodevelopmental Disorders)」という用語が使用されているのです。


ただし日本では「発達障害」という言葉が広く浸透しているため、実務や説明では従来通り「発達障害」を使うことも多です。




神経発達症とはどんなもの?


DSM-5-TR™ では、神経発達症を次のように説明しています。


  • 発達期(多くは就学前)に現れる特性の集まり

  • 個人・社会・学業・職業など、生活のさまざまな領域に影響する発達上の欠如(deficits) を特徴とする

  • 症状は幅広く、複数の特性が重なって現れることが多い


つまり、「発達障害」というよりも、 脳の発達のしかたに由来する“特性のプロファイル” と捉える方が近いイメージです。



DSM-5-TR™ に含まれる神経発達症の分類


DSM-5-TR™ では、神経発達症は次のように分類されています。


● 主なカテゴリー


  • 知的能力障害/知的発達症(Intellectual Disability / Intellectual Developmental Disorder)

  • 全般性発達遅延(Global Developmental Delay)

  • コミュニケーション症群(Communication Disorders)

    • 言語症(Language Disorder)

    • 語音症(Speech Sound Disorder)

    • 小児期発症流暢症(Childhood-Onset Fluency Disorder, いわゆる吃音)

    • 社会的(語用論的)コミュニケーション症 など

  • 自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder, ASD)

  • 注意欠如多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder, ADHD)

  • 限局性学習症(Specific Learning Disorder, SLD)

  • 運動症群(Motor Disorders)

    • 発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder)

    • 常同運動症(Stereotypic Movement Disorder)

    • チック症群(Tourette’s Disorder など)

  • その他の/特定不能の神経発達症(Other/Unspecified Neurodevelopmental Disorder)


これらは「診断名」ではありますが、実際の子どもの姿はとても多様で、 ASD+ADHD のように複数の特性が併存することも珍しくありません。




DSM-5-TR™ の重症度の考え方


DSM-5-TR™ の特徴として、特に 知的発達症・ASD の重症度は次の観点で評価されます。


「生活場面でどれだけ支援が必要か」


  • 同じ診断名でも、 どの場面で・どの程度の支援が必要か が重症度を決める中心基準

  • 概念的領域・社会的領域・実用的領域など、生活に即した視点で評価される


診断名そのものより、 “その子がどんな場面で困りやすいか” を丁寧に理解することが重要だと示しています。




支援において大切な視点


DSM-5-TR™ の一次情報から読み取れる大切なポイントは次の通りです。


  • 診断名はあくまで「分類」であり、支援のゴールではない

  • 個々の行動特性や環境との相互作用を丁寧に評価することが不可欠

  • 併存が多いため、診断名だけで支援を決めない

  • 必要な支援は、生活場面に応じて柔軟に調整する


ABA 支援でも、 「診断名 → 支援内容」ではなく、 「行動の理解 → 必要な支援」   という流れが基本になります。



おわりに


DSM-5-TR™ の神経発達症は、子どもの特性を理解するための“地図”のようなものです。 ただし、その地図だけでは支援は完成しません。 実際の行動、環境、日々の生活の中での困りごとを丁寧に見つめることで、 初めてその子に合った支援が形になります。



【問題1】

DSM-5-TR™ における「神経発達症」の説明として最も適切なのはどれか。


A:成人期に突然発症し、主に精神症状を示す

B:発達期に現れ、生活のさまざまな領域に影響する発達上の欠如を特徴とする

C:特定の一つの症状のみで診断される

D:環境要因のみで生じるため、脳の発達とは関係しない


正解:B

解説:DSM-5-TR™ では神経発達症を「発達期に現れ、個人・社会・学業・職業などに影響する発達上の欠如を特徴とする」と説明している。



【問題2】

DSM-5-TR™ に含まれる神経発達症の分類として正しい組み合わせはどれか。


A:ASD、ADHD、うつ病

B:SLD、発達性協調運動症、チック症群

C:統合失調症、ASD、ADHD

D:不安症、SLD、ASD


正解:B

解説:DSM-5-TR™ の神経発達症には、SLD、運動症群(発達性協調運動症など)、チック症群などが含まれる。



【問題3】

DSM-5-TR™ における重症度の評価で最も重視される視点はどれか。


A:症状の数が多いかどうか

B:IQ の高さ

C:生活場面でどれだけ支援が必要か

D:診断名の種類


正解:C

解説:DSM-5-TR™ では知的発達症・ASD の重症度を「生活場面で必要な支援の程度」で評価する。




【問題4】

DSM-5-TR™ の考え方から導かれる支援の基本姿勢として最も適切なのはどれか。


A:診断名に基づき、支援内容を固定化する

B:診断名は支援のゴールであり、行動観察は不要である

C:診断名は分類にすぎず、行動特性と環境の相互作用を丁寧に評価する

D:併存はまれであるため、単一の診断名だけを見れば十分である


正解:C

解説:DSM-5-TR™ の一次情報からは「診断名は分類であり、行動特性や環境との相互作用を丁寧に評価すること」が重要と読み取れる。



【問題5】

DSM-5-TR™ の神経発達症の理解として最も適切なのはどれか。


A:神経発達症は単一の症状で診断される

B:ASD と ADHD の併存はほとんど見られない

C:神経発達症は脳の発達のしかたに由来する“特性のプロファイル”として理解できる

D:診断名があれば、支援内容は自動的に決まる


正解:C

解説:本文では「発達障害というより、脳の発達のしかたに由来する特性のプロファイル」と捉える方が近いと説明されている。


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