刺激性制御(stimulus control)
- ABAスクールTogether

- 2月28日
- 読了時間: 5分
ABA を学ぶと必ず出てくる概念が 刺激性制御(stimulus control)。
専門的に聞こえますが、実は私たちの生活のあらゆる場面で起きている、とても身近な現象です。
この記事では、刺激性制御の基本から、関連する現象(過度選択性・マスキング・オーバーシャドウイングなど)まで、日常例を交えてわかりやすく紹介します。
刺激性制御(stimulus control)とは?
ある行動が、特定の刺激(SD:弁別刺激)の存在下で起こりやすくなることを指します。
例
テレビがついている(SD)→ テレビ番組を見る行動が起こりやすい
本が置いてある(SΔ)→ テレビ番組を見る行動は起こらない
ABA では、SD のときに行動を強化し、SΔ のときには強化しない「弁別訓練」を通して、行動を適切な刺激のもとで起こせるようにしていきます。
誤った刺激に反応してしまう「誤った刺激性制御」Faulty Stimulus Control
本来関係のない刺激に行動がコントロールされてしまう状態です。
例
課題の内容ではなく、先生の服の色で答え方が変わる
プリントの“折れ方”で答えを推測してしまう
学習の妨げになるため、早めの気づきと調整が大切です。
一部の特徴だけに反応してしまう「過度選択性」Overselective Stimulus Control
刺激のごく一部の特徴だけに注意が向き、本来必要な情報全体を使えていない状態です。
例
りんごの絵を「赤い丸いもの=りんご」と覚えてしまい、 緑のりんごや写真のりんごに反応できない
刺激のバリエーションを増やすことで改善が期待できます。
刺激顕著性(stimulus salience)
刺激がどれだけ気づきやすいか、目につきやすいかを指します。
聴覚に困難がある場合、音より視覚刺激のほうが顕著性が高い
刺激に気づくためには、注視・姿勢などのプレアテンドスキルが必要
顕著性が低い刺激は、SD として機能しにくくなります。
マスキング(stimulus blocking)
刺激性制御はあるのに、別の刺激が邪魔をして行動が出にくくなる状態です。
例
電話が鳴っているのに、 「夕飯が焦げそう!」という強い刺激があり、電話に出られない
行動そのものはできるのに、競合刺激がブロックしてしまうイメージです。
オーバーシャドウイング(overshadowing)
学習中に強い刺激が存在することで、SD がうまく機能しなくなる状態です。
例
掛け算を学んでいるのに、 近くで兄弟が大きな声で遊んでいて集中できない
学習の獲得段階で特に起こりやすい現象です。
刺激性制御を整えるための「先行介入」
刺激性制御を適切に働かせるためには、環境調整がとても重要です。
余計な刺激を減らす(雑音・視覚刺激の整理)
教示刺激を強調する(大きく・明確に・わかりやすく)
SD が出たときに確実に強化する
刺激のバリエーションを増やし、過度選択性を防ぐ
小さな工夫で、学習の質が大きく変わります。
おわりに
刺激性制御は、行動分析の基礎でありながら、日常のあらゆる場面に関係しています。 「どんな刺激のときに、どんな行動が起きやすいのか」を意識するだけで、支援や指導がぐっと効果的になります。
【問題1】
授業中、子どもが「先生の服の色」で答え方が変わってしまい、課題内容とは無関係に正答率が上下している。この現象として最も適切なのはどれか。
A. 過度選択性(Overselective Stimulus Control)
B. オーバーシャドウイング(Overshadowing)
C. 誤った刺激性制御(Faulty Stimulus Control)
D. マスキング(Stimulus Blocking)
正答:C
解説:本来関係のない刺激(服の色)が行動をコントロールしているため、誤った刺激性制御に該当する。
【問題2】
りんごの学習で「赤くて丸い絵」にだけ反応できるが、緑のりんごや写真のりんごには反応できない。この状態を最も正確に表す概念はどれか。
A. 刺激顕著性(Stimulus Salience)の低下
B. SΔの誤認識
C. 過度選択性(Overselective Stimulus Control)
D. マスキング(Stimulus Blocking)
正答:C
解説:刺激の一部の特徴(赤い・丸い)だけに注意が向いており、過度選択性に該当する。
【問題3】
電話が鳴っているのに、鍋が焦げそうでそちらに注意が向き、電話に出られない。この現象を最も正しく説明する概念はどれか。
A. オーバーシャドウイング(Overshadowing)
B. マスキング(Stimulus Blocking)
C. 誤った刺激性制御(Faulty Stimulus Control)
D. 刺激顕著性の低下
正答:B
解説:電話に出る行動は可能だが、競合する強い刺激(鍋)が行動をブロックしているためマスキング。
【問題4】
掛け算の学習中、近くで兄弟が大声で遊んでおり、提示しているSDが機能しにくくなっている。この現象として最も適切なのはどれか。
A. オーバーシャドウイング(Overshadowing)
B. 過度選択性
C. 刺激顕著性の低下
D. マスキング(Stimulus Blocking)
正答:A
解説:強い外部刺激がSDより目立ち、SDが機能しなくなるためオーバーシャドウイング。
【問題5】
刺激性制御を整えるための先行介入として“最も不適切”なものはどれか。
A. 余計な視覚刺激や雑音を減らす
B. SDが出ていない状況でも強化を続けて般化を促す
C. 教示刺激を大きく・明確に提示する
D. 刺激のバリエーションを増やして過度選択性を防ぐ
正答:B
解説:SDが出ていない状況で強化すると弁別が成立せず、刺激性制御が崩れるため不適切。
✨ABAスクールTogetherでは、初学者から経験者まで、体系的にABAを学べます✨
▶︎ABA初学者で支援員・教師・保護者など児童に直接接する方
▶︎ABA初学者で行政や事業所で保護者面談・保護者支援を担当される方
▶︎ABA経験者でスーパーバイザー国際資格を目指したい方
皆様のご受講お待ちしております。




コメント