動機づけ操作(Motivating Operation:MO)
- ABAスクールTogether

- 2月8日
- 読了時間: 6分
更新日:2月13日
ABA を学ぶと必ず出てくる概念のひとつが 動機づけ操作(Motivating Operation:MO)。
行動が起きる背景には「どんな刺激があるか」だけでなく、その瞬間に本人がどれだけその結果を欲しているかが大きく関わります。
この記事では、MO の基本から、2つのタイプ(EO と AO)、そして支援場面での活用まで、やさしく解説します。
動機づけ操作(MO)とは?
MO は、ある結果(強化子)の価値を一時的に上げたり下げたりし、その結果を得るための行動を増やしたり減らしたりする環境要因です。
ポイントはこの2つ。
価値変化効果(value-altering effect) → その結果を「欲しい/欲しくない」と感じる度合いが変わる
行動変化効果(behavior-altering effect) → それを得るための行動が「増える/減る」
つまり、 “いま、この瞬間、どれだけそれを欲しているか” が行動に影響するということです。
MO の2つのタイプ
① EO(Establishing Operation:確立操作)
強化子の価値を高め、行動を増やす MO。
価値変化効果: → その物や活動が「より欲しいもの」になる
行動変化効果: → それを得るための行動が増える(evoke)
例:
しょっぱいものを食べ続ける → 水の価値が上がる
食事を長時間とっていない → 食べ物の価値が上がる
iPad の使用時間を制限する → iPad の価値が上がる
支援場面では、強化子の価値を高めるためにアクセスを調整することがよく行われます。
② AO(Abolishing Operation:無効操作)
強化子の価値を下げ、行動を減らす MO。
価値変化効果: → その物や活動が「そこまで欲しくないもの」になる
行動変化効果: → それを得るための行動が減る(abate)
例:
ぐっすり寝た後 → 睡眠の価値が下がる
お腹いっぱい → 食べ物の価値が下がる
iPad を長時間使った後 → iPad の価値が下がる
支援場面では、強化子が効きにくいタイミングを避けることが大切です。
MO は「その子の今」を理解するための鍵
MO は、単なる“やる気”ではなく、環境によって変動する行動の背景要因です。
同じ課題でも、
お腹が空いているとき
眠いとき
好きなものを十分に楽しんだ後 では、行動がまったく違って見えます。
MO を理解すると、 「どうして今日は取り組めないのか」 「どうしてこの行動が増えているのか」 が読み解きやすくなります。
支援・指導での MO 活用ポイント
強化子の価値を高めたいとき(EO を作りたい)
好きなものへのアクセスを少し制限する
課題前に“飽きるほど”与えない
タイミングを見て提供する
強化子が効きにくいとき(AO が働いている)
食後すぐに食べ物で強化しない
長時間 iPad を使った直後に iPad を強化子にしない
眠い・疲れているときは課題の難易度を調整する
MO を理解して調整するだけで、学習のスムーズさが大きく変わります。
まとめ
動機づけ操作(MO)は、 「いま、その子がどれだけその結果を欲しているか」 を左右する重要な要素です。
EO → 強化子の価値が上がり、行動が増える
AO → 強化子の価値が下がり、行動が減る
MO を意識すると、行動の背景がよりクリアに見え、支援の質がぐっと高まります。
【問題1】
子どもがしょっぱいスナックをたくさん食べた後、水を強く欲しがり、「みず!」と言う頻度が増えた。 このとき働いている MO として最も適切なのはどれか。
A. AO(無効操作)
B. EO(確立操作)
C. SD(弁別刺激)
D. 反応努力量の増加
答え:B
解説: しょっぱいもの → 水の価値が上がる → 水を求める行動が増える=EO。
【問題2】
子どもが昼食を食べた直後、好きなスナックを見せても反応が弱く、要求行動(mand)がほとんど出なかった。 このとき働いている MO として最も適切なのはどれか。
A. EO
B. AO
C. SD
D. CMO-T
答え:B
解説: お腹いっぱい → 食べ物の価値が下がる → 行動が減る=AO。
【問題3】
iPad を長時間使った直後、支援者が「課題ができたら iPad だよ」と言っても、子どもはほとんど取り組まなかった。 このとき iPad に対して起きている状態として最も適切なのはどれか。
A. EO
B. AO
C. SD
D. 強化スケジュールの変化
答え:B
解説: 使いすぎ → 価値が下がる → iPad を得るための行動が減る=AO。
【問題4】
課題前に好きなおもちゃへのアクセスを制限したところ、課題後の「おもちゃちょうだい」という mand が増えた。 このとき支援者が意図的に作り出した状態として最も適切なのはどれか。
A. AO
B. EO
C. SD
D. 反応般化
答え:B
解説: アクセス制限 → 価値上昇 → 行動増加=EO。
【問題5】
眠い状態の子どもに課題を提示したところ、普段できる課題にも取り組めず、強化子にも反応が弱かった。 このとき最も適切な説明はどれか。
A. 眠気が SD を弱めている
B. 眠気が強化子の価値を下げる AO として働いている
C. 眠気が EO を強めている
D. 眠気が反応努力量を下げている
答え:B
解説: 眠い → 強化子の価値が下がる → 行動が減る=AO。
【問題6】
子どもが「のどが渇いた」と感じているとき、水を要求する mand が増えた。 このときの MO の“行動変化効果”として最も適切なのはどれか。
A. 水の価値が下がる
B. 水を得るための行動が減る
C. 水を得るための行動が増える
D. SD が強化される
答え:C
解説: EO は「価値上昇」+「行動増加」の2つの効果を持つ。
【問題7】
支援者が「食後すぐにお菓子で強化しない」ようにしたところ、課題中の強化が安定した。 この支援の意図として最も適切なのはどれか。
A. EO を作り出すため
B. AO を避けるため
C. SD を強めるため
D. 反応努力量を下げるため
答え:B
解説: 食後はお菓子の価値が下がる(AO)→ そのタイミングを避けて強化を安定させる。
【問題8】
子どもが iPad を強く欲している状態で、支援者が「課題ができたら iPad」と伝えたところ、課題への取り組みが大きく増えた。 このとき課題行動が増えた理由として最も適切なのはどれか。
A. SD が強化された
B. EO により iPad の価値が高くなっていた
C. AO により iPad の価値が下がっていた
D. 反応般化が起きた
答え:B
解説: iPad の価値上昇(EO)→ それを得るための行動が増える。
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