正の弱化の種類 *使用注意
- ABAスクールTogether

- 18 時間前
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ABA(応用行動分析)では、行動が減るメカニズムを 弱化(Punishment) と呼びます。
その中でも 正の弱化(Positive Punishment) は、
行動のあとに“不快な刺激”が加わることで、その行動が減る
という原理です。
ここでの「正(Positive)」は 良い・悪いの意味ではなく、“加える”という意味。
そして「弱化(Punishment)」は 行動が減る という結果を指します。
正の弱化の例
● ルールを破ったら追加課題が出た
→ ルール違反が減る
● 危険な行動をしたら厳しい注意を受けた
→ 危険行動が減る
● 叩いたら嫌な音が鳴るデバイスが作動した
→ 叩く行動が減る
ポイントは、 「大人が意図したかどうか」ではなく、実際に行動が減ったかどうか で弱化かどうかが決まることです。
正の弱化の例
① Verbal Reprimands(言語的注意)
行動のあとに
「やめなさい」
「それは危ないよ」 などの注意を加えることで行動が減る場合。
ただし、注意が“注目”として機能し、 逆に行動が増えるケースもあるため要注意。
② Contingent Exercise(随伴的エクササイズ)
問題行動のあとに、 追加の運動や活動を課す 方法。
例:
ルール違反 → 追加のランニング
片づけをしなかった → 片づけ練習を数回繰り返す
③ Response Blocking(反応ブロッキング)
問題行動をしようとした瞬間に、 物理的にその行動を止める 方法。
例:
自傷行動の手をそっと止める
物を投げようとした手をブロックする
安全性と倫理性が重要。
④ Response Interruption and Redirection(反応遮断とリダイレクション)
問題行動が始まったら、 すぐに行動を中断し、別の適切な行動に誘導する 方法。
例:
常同行動が始まったら、質問をして注意を切り替える
叫び声が出たら、別の音声模倣を促す
⑤ Physical Restraint(身体的拘束)
危険行動がある場合に、 一時的に身体を安全に保つための拘束 を行う方法。
※倫理的・法的な配慮が必要で、 現場では厳しいガイドラインのもとでのみ使用されます。
⑥ Overcorrection(オーバーコレクション)
問題行動のあとに、 環境を元より良い状態に戻す(Restitutional) または 正しい行動を繰り返し練習する(Positive Practice) 方法。
例:
水をこぼした → 床全体を拭く(Restitutional)
乱暴に片づけた → 正しい片づけ方を数回練習(Positive Practice)
⑦ Contingent Aversive Stimuli(随伴的嫌悪刺激)
行動のあとに 不快な刺激(音・匂い・感覚など) を加えることで行動を減らす方法。
※ABA では倫理的理由から扱うことは基本ありません。
正の弱化は“最後の手段”として扱われる理由
ABA では、 正の弱化は基本的に優先順位が低い とされています。
理由は:
行動の機能を変えるわけではない
副作用(恐怖・回避・攻撃性)が起きやすい
強化を使った支援のほうが効果的で持続しやすい
関係性が損なわれる可能性がある
そのため、現場では
先行介入(環境調整)
代替行動の指導(機能的コミュニケーショントレーニング FCT)
強化を使った支援
を優先し、それでも改善が難しい場合に 安全性を確保する目的で最小限使用する という位置づけです。
正の弱化を扱うには、倫理的・法的な配慮が欠かせない
正の弱化(Positive Punishment)は、 行動のあとに不快な刺激を加えることで行動を減らす という原理です。 理論としてはシンプルですが、実際の支援で扱う際には、 倫理的・法的な配慮が必要です。もし実施する場合は、会社組織として行政や法律の専門家に相談しながら実施する必要があります。また保護者への同意も欠かせません。
ここでは理論の解説を目的に記載しましたが、もしスーパーバイザーなど相談できる人がいない状況であれば、使用しないことをお勧めします。
まとめ:正の弱化は“行動が減る”ときに成立する原理
正の弱化=不快な刺激が加わり、行動が減る
手続きには注意・ブロッキング・オーバーコレクションなどがある
ただし、強化を使った支援が優先
安全性・倫理性を最重視して使用する
正の弱化を理解すると、 「なぜ行動が減ったのか」「なぜ減らないのか」 を科学的に説明できるようになります。
■問1
正の弱化(Positive Punishment)の定義として最も適切なのはどれですか?
A:行動のあとに快刺激を加えて行動を増やす
B:行動のあとに不快刺激を加えて行動を減らす
C:行動のあとに不快刺激を取り除いて行動を減らす
D:行動の前に刺激を提示して行動を促す
正解:B
正の弱化は「不快な刺激を加える → 行動が減る」という関係で成立します。
■問2
次のうち、正の弱化の例として最も適切なのはどれですか?
A:宿題をしたらゲーム時間が増えた
B:叩いたら嫌な音が鳴り、その後叩く行動が減った
C:泣いたらお菓子がもらえて泣く行動が増えた
D:授業中に静かにしていたら褒められた
正解:B
不快刺激(嫌な音)が加わり、行動(叩く)が減っているため正の弱化です。
■問3
A:Response Blocking(反応ブロッキング)
B:Overcorrection(オーバーコレクション)
C:Contingent Exercise(随伴的エクササイズ)
D:Differential Reinforcement(分化強化)
正解:D
分化強化は「望ましい行動を強化する」手続きであり、弱化ではありません。
■問4
正の弱化が現場で“最後の手段”として扱われる理由として最も適切なのはどれですか?
A:行動の機能を変えやすいから
B:副作用が少なく、強化より効果が高いから
C:恐怖・回避・攻撃性などの副作用が起きやすいから
D:どの子にも必ず効果があるから
正解:C
正の弱化は副作用が大きく、関係性を損なうリスクがあるため優先順位が低いとされています。
■問5
次のうち、正の弱化を使用する際に必要な配慮として最も適切なのはどれですか?
A:強化よりも優先して積極的に使う
B:保護者の同意や法的・倫理的ガイドラインを確認する
C:行動が減らなくても続ける
D:子どもが嫌がる刺激なら何でも使ってよい
正解:B
正の弱化は倫理的・法的な配慮が必須で、専門家・保護者との合意が欠かせません。
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