複合強化スケジュール(Compound Schedules)
- ABAスクールTogether

- 2月28日
- 読了時間: 7分
ABA(応用行動分析)では、 行動が強化されるタイミングや条件を 強化スケジュール と呼びます。
その中でも、 複数のスケジュールが同時・交互・連続して働くもの を 複合強化スケジュール(Compound Schedules) といいます。
複合スケジュールは、
行動が複数の条件に左右されるとき
現場で複雑な行動を扱うとき
トークンや課題の流れを設計するとき
にとても役立ちます。
ここでは、代表的な7つの複合スケジュールをわかりやすく解説します。
① 同時スケジュール(Concurrent Schedule)
複数の行動に“同時に別々のスケジュール”が働く
同時スケジュールでは、 2つ以上の行動に対して、別々の強化ルールが同時に存在 します。
■ 例
ワークシートを解く → 30秒休憩
先生に唾を吐く → 15分タイムアウト
子どもは どの行動を選ぶか を自分で決めます。 選択行動の研究でよく使われるスケジュールです。
② 多重スケジュール(Multiple Schedule)
“刺激によって切り替わる”複数のスケジュール
多重スケジュールでは、 2つ以上のスケジュールが交互に現れ、 それぞれが異なる刺激(SD)で示される 仕組みです。
■ 例
家では VR2(よく褒められる)
学校では VR10(あまり褒められない)
刺激が変わることで、 行動が急に増えたり減ったりする「行動コントラスト」 が起きることがあります。
③ 混合スケジュール(Mixed Schedule)
“刺激なしで切り替わる”複数のスケジュール
多重スケジュールと似ていますが、 切り替わりを知らせる刺激(SD)がない のが特徴。
■ 例
VR5 と VR8 をランダムに切り替えるが、 どちらが適用されているかは本人にはわからない
行動は安定しにくく、予測が難しいスケジュールです。
④ 連鎖スケジュール(Chained Schedule)
“順番にこなす”複数のスケジュール(SDあり)
連鎖スケジュールでは、 複数のスケジュールを順番にクリアすると強化が得られる 仕組みです。 各ステップには SD(合図) があり、 前のステップが次のステップの強化子として働きます。
■ 例
ゲームをする前に
コントローラーを探す
電源を入れる
ゲームを選ぶ → クリアしたらプレイできる
タスク分析と相性が良いスケジュールです。
⑤ タンデムスケジュール(Tandem Schedule)
“順番にこなす”が、SDなし
連鎖スケジュールとほぼ同じですが、 ステップごとの合図(SD)がない のが特徴。
■ 例
10枚絵を描く(FR10)
その後3分待つ(FI3) → クリアしたらシールがもらえる
順番は決まっていますが、 本人は「今どの段階か」を外から判断できません。
⑥ 代替スケジュール(Alternative Schedule)
“どちらか一方を達成すれば”強化される
代替スケジュールでは、 2つ以上のスケジュールが同時に働き、 どちらか一方を満たせば強化が得られる 仕組みです。
■ 例
15個片づける または 8分間片づけ続ける → どちらか達成で強化
柔軟性があり、成功体験を作りやすいスケジュールです。
⑦ 連合スケジュール(Conjunctive Schedule)
“両方を達成して”強化される
代替スケジュールとは逆で、 複数のスケジュールをすべて満たしたときに強化が得られる 仕組みです。
■ 例
10回指示に従う かつ 1分経過 → 両方クリアでごほうび
行動の質と量を同時にコントロールしたいときに使われます。
複合強化スケジュール(Compound Schedules)
スケジュール | SDの有無 | 条件 | 特徴 |
同時(conc) | あり | 複数行動に別々のスケジュール | 選択行動の分析に使う |
多重(mult) | あり | 刺激で切り替わる | 行動コントラストが起きやすい |
混合(mix) | なし | 刺激なしで切り替わる | 予測が難しい |
連鎖(chain) | あり | 順番に達成 | タスク分析と相性◎ |
タンデム(tan) | なし | 順番に達成 | SDがない連鎖 |
代替(alt) | — | どちらか達成 | 柔軟で成功しやすい |
連合(conj) | — | 両方達成 | 行動の質と量を同時に管理 |
まとめ:複合スケジュールを理解すると“行動の仕組み”が深く見える
複合スケジュールは一見難しそうですが、
SD があるか
順番があるか
どちらか/両方か
という視点で整理すると、とても理解しやすくなります。
これらを理解しておくと、 複雑な行動支援やトークン制度、課題の流れの設計 が ぐっとスムーズになります。
【問題1】
Cさんは、
・「静かに読書すると 1ページごとにスタンプが1つもらえる」
・「友だちにちょっかいを出すと 3分間席移動になる」
という2つのルールが“同時に存在”している。Cさんはどちらの行動を選ぶか自分で決めている。 この状況に最も当てはまるスケジュールはどれか。
A. 多重スケジュール(Multiple)
B. 同時スケジュール(Concurrent)
C. 代替スケジュール(Alternative)
D. 連合スケジュール(Conjunctive)
正答:B
解説:複数の行動に対して別々のスケジュールが同時に働いており、行動選択が生じるため同時スケジュール。
【問題2】
Dさんは、
・青いカードが提示されているときは FR3
・黄色いカードが提示されているときは FI2 という2つのスケジュールが、カードの色によって切り替わる。 この状況に最も当てはまるスケジュールはどれか。
A. 多重スケジュール(Multiple)
B. 混合スケジュール(Mixed)
C. 連鎖スケジュール(Chained)
D. タンデムスケジュール(Tandem)
正答:A
解説:切り替わりを知らせる明確な刺激(カードの色)があるため多重スケジュール。
【問題3】
Eさんは、
・FR4 と FI1 がランダムに切り替わるが、
・切り替わりを知らせる合図は一切ない
ため、どのルールが適用されているか本人には分からない。 この状況に最も当てはまるスケジュールはどれか。
A. 多重スケジュール(Multiple)
B. 混合スケジュール(Mixed)
C. 同時スケジュール(Concurrent)
D. 代替スケジュール(Alternative)
正答:B
解説:スケジュールの切り替わりにSDが存在しないため混合スケジュール。
【問題4】
Fさんは、 ① タブレットを取り出す(FR1) ② ログインする(FR1) ③ 今日の課題を選ぶ(FR1) → すべて完了すると動画視聴ができる という“順番にこなす”タスクで、各ステップには画面上の明確な合図がある。 この状況に最も当てはまるスケジュールはどれか。
A. 連鎖スケジュール(Chained)
B. タンデムスケジュール(Tandem)
C. 連合スケジュール(Conjunctive)
D. 混合スケジュール(Mixed)
正答:A
解説:順番があり、各段階にSDが存在するため連鎖スケジュール。
【問題5】
Gさんは、 ・まず「5回ジャンプする(FR5)」 ・その後「30秒間静止する(FI0.5)」 という順番を達成するとシールがもらえるが、どの段階にいるかを示す合図はない。 この状況に最も当てはまるスケジュールはどれか。
A. 連鎖スケジュール(Chained)
B. タンデムスケジュール(Tandem)
C. 多重スケジュール(Multiple)
D. 同時スケジュール(Concurrent)
正答:B
解説:順番はあるがSDがないため、連鎖ではなくタンデム。
【問題6)】 Hさんは、 ・10個ブロックを片づける ・5分間片づけを続ける のどちらかを達成すれば休憩がもらえる。 この状況に最も当てはまるスケジュールはどれか。
A. 代替スケジュール(Alternative)
B. 連合スケジュール(Conjunctive)
C. 混合スケジュール(Mixed)
D. 連鎖スケジュール(Chained)
正答:A
解説:複数の条件のうち“どちらか一方”を満たせば強化されるため代替。
【問題7】
Iさんは、 ・3つの質問に正しく答える かつ ・2分間席を立たない の両方を満たしたときにポイントがもらえる。 この状況に最も当てはまるスケジュールはどれか。
A. 代替スケジュール(Alternative)
B. 連合スケジュール(Conjunctive)
C. 同時スケジュール(Concurrent)
D. 多重スケジュール(Multiple)
正答:B
解説:複数の条件を“すべて”満たす必要があるため連合スケジュール。
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