ABAにおける「Crisis/Emergency Procedures(危機・緊急対応手続き)」
- ABAスクールTogether

- 5月11日
- 読了時間: 3分
ABA(応用行動分析)は、行動を教えるだけの支援ではありません。
支援中に危険が発生したとき、 生徒・スタッフ・周囲の安全を最優先に守ることが求められます。
そのために用意されているのが Crisis/Emergency Procedures(危機・緊急対応手続き)です。
これは、 「危険が起きたときに、スタッフが迷わず安全確保の行動を取れるようにするための手順」 を意味します。
ABAの倫理コード(BACB Ethics Code等)でも、 危険時は介入よりも安全を優先することが明確に定められています。
危機対応が必要になる場面
支援中、以下のような危険が起こる可能性があります。
強い自傷(頭を打つ、噛むなど)
他害(殴る、蹴る、引っかく)
逃走(施設外へ走り出す)
発作・アレルギー反応などの医療的緊急事態
火災・地震などの災害
こうした場面では、 強化・プロンプト・消去などのABA手続きは一時停止し、 安全確保を最優先に切り替える必要があります。
危機対応手続きの基本構造
危機対応は、次の3ステップで構成されます。
1. 危険レベルの判断
ABA現場では、危険を次のように分類します。
レベル1:軽度(泣く、叫ぶ、拒否など)
レベル2:中等度(投げる、軽度の他害など)
レベル3:重度(自傷、強い他害、逃走、医療的緊急など)
2. レベルに応じた対応
レベル1 → 低刺激対応・環境調整
レベル2 → 周囲の安全確保・スタッフ増員
レベル3 → 身体的介入(許可されている場合のみ)、119、避難など
3. 事後対応
インシデントレポートの作成
保護者への説明
BIP(行動計画)の見直し
スタッフ間のデブリーフィング
危機対応は「その場で終わり」ではなく、 事後の見直しが次の危険を防ぐために不可欠です。
【例】ABAセッション中に起きた「逃走」への対応
ここからは、実際のABA現場でよくあるケースを 1つ紹介します。
■ ケース:課題中に突然走り出したAくん
● 状況
5歳のAくん。 苦手な課題に取り組んでいる最中、突然立ち上がり、 教室の外へ走り出した。
■ 危険レベルの判断
施設外へ出る可能性がある
交通事故のリスクがある
→ レベル3(重度)と判断。
■ 対応(Crisis/Emergency Procedures)
1. 追跡担当と環境担当を即座に分ける
担当セラピスト:Aくんを追跡
サポートスタッフ:出口の施錠、他の子どもの安全確保
2. Aくんを安全な場所で停止させる
危険がない場所で、腕を軽く支えるなど 最小限の身体介入(許可されている場合のみ)
落ち着くスペースへ誘導
3. 管理者へ連絡
「逃走が発生した」ことを報告
必要に応じて保護者へ連絡準備
■ 事後対応(Post-Crisis)
1. インシデントレポート
逃走の状況
実施した手順
けがの有無
今後の予防策
2. BIP(行動計画)の見直し
課題の難易度調整
逃走の前兆(視線の逸れ、そわそわ)を記録
逃走防止のための環境調整を追加
3. 保護者への説明
事実のみを丁寧に伝える
今後の予防策を共有
まとめ
Crisis/Emergency Procedures は、ABAにおける「安全確保のための手順」
危険が起きたら、ABA手続きよりも安全を優先する
危機対応は「判断 → 対応 → 事後対応」の3ステップ
実例のように、逃走・自傷・他害はレベル3として扱う
事後対応(レポート・支援計画の見直し)が次の危険を防ぐ鍵になる


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