PBIS Tier 3 ポジティブ行動支援(学校)
- ABAスクールTogether

- 16 時間前
- 読了時間: 6分
Tier 3 は、 Tier 1・Tier 2 だけでは行動が安定しない子どもに対して行う、個別で集中的な支援レベル です。
対象となるのは、学校全体の 約3〜5%。
高頻度・高強度の問題行動がある
学習や友人関係、学校生活に大きな影響が出ている
単発の指導や注意では改善が難しい
といった子どもに対して、 「その子専用の支援パッケージ」を組むイメージ です。
Tier 3 支援の大きな特徴
個別化(Individualized):一人ひとりに合わせた支援
集中的(Intensive):頻度・密度の高い支援
機能に基づく(Function-based):行動の“理由”に合わせた支援
多職種・多機関連携(Team-based):学校+家庭+専門職で支える
① 機能的行動アセスメント(FBA)から始める
Tier 3 のスタート地点は、 機能的行動アセスメント(FBA:Functional Behavioral Assessment) です。
「なぜその行動が起きているのか?」 「その行動は、子どもにとって何の役に立っているのか?」
を、データと観察から丁寧に明らかにします。
■ 見るポイント
いつ起きる?(時間・教科・場面)
どこで起きる?(教室・廊下・校庭など)
誰といるときに起きる?
直前に何があった?(Antecedent)
その後どうなっている?(Consequence)
行動の機能は?
注目(attention)
逃避・回避(escape)
物・活動(tangible)
感覚(sensory)
ここを曖昧にしたまま「とりあえず支援」は、Tier 3 ではほぼ失敗します。
② 個別行動支援計画(BIP)を作成する
FBA の結果をもとに、 BIP(Behavior Intervention Plan:個別行動支援計画) を作ります。
BIP は、ざっくり言うと:
「この子が困らないように、 環境をどう変え、 どんな行動を教え、 どう強化し、 どう対応するかを、チームで共有する設計図」
です。
■ BIP に含まれる主な内容
ターゲット行動(減らしたい行動)の定義
代替行動(増やしたい行動)の設定
先行介入(Antecedent Intervention)
結果の操作(Consequence Strategy)
強化の方法(Reinforcement Plan)
危機場面への対応(Safety Plan が必要な場合も)
家庭との連携方法
モニタリング方法(どのデータをどう取るか)
③ 先行介入を厚くする(環境調整)
Tier 3 では、 「問題行動が起きないようにする」ための環境調整 をかなり丁寧に行います。
例:
課題量・難易度の調整
席の配置変更
見通しを持てるスケジュール提示
こまめな休憩(NCR)
トリガーとなる刺激の軽減
関わる大人の声かけ・指示の工夫
④ 代替行動・スキルを教える(Skill Building)
Tier 3 は「やめさせる」ではなく、 「代わりに何をすればいいかを教える」 ことが中心です。
例:
逃げる → 「休憩したい」と伝える
叩く → 「やめて」と言う / 距離を取る
叫ぶ → 手を挙げて発言する
授業を妨害 → 「わからない」と言えるようにする
ここで使われるのが、
FCT(機能的コミュニケーション訓練)
ソーシャルスキルトレーニング
自己調整スキル(感情コントロール・リラクゼーション) などです。
⑤ 結果の操作:問題行動を“得にならない”ようにする
Tier 3 では、 問題行動が機能しないようにする(=強化されないようにする) ことも重要です。
例:
叫んでも授業は止めない(逃避を与えない)
叩いても物はもらえない
代替行動をしたときだけ、しっかり強化する
ここで、 消去(Extinction)+ 代替行動の強化 という ABA の基本が活きてきます。
⑥ 多職種・多機関連携(Team Support)
Tier 3 は、担任一人では絶対に抱え込めません。
関わるメンバーの例:
担任
学年主任
特別支援コーディネーター
スクールカウンセラー / スクールソーシャルワーカー
心理士・医師・療育機関
保護者
場合によっては本人もチームの一員
「この子のチーム」 をつくり、 情報共有と役割分担を明確にします。
⑦ データで効果を確認し、柔軟に修正する
Tier 3 は、 やりっぱなしではなく「検証し続ける支援」 です。
問題行動の頻度・強度・時間
代替行動の使用頻度
授業参加の割合
学習・出席状況
などを定期的に確認し、
効果があれば → 継続・少しずつフェードアウト
効果が弱ければ → 先行介入・強化・代替行動の見直し
というサイクルを回します。
Tier 3 が機能するとどうなる?
高リスク行動が減る
本人のストレスが下がる
学習参加が増える
クラス全体の安心感が高まる
教員の「もう無理かも…」が減る
家庭との関係も良くなる
そして何より、 「この子は問題児」ではなく「この子にはこういう支援が必要なんだ」 という見方に変わります。
まとめ:Tier 3 は“その子の人生に本気で向き合う”レベルの支援
PBIS の Tier 3 は、 3〜5%の子どもに必要な、個別・集中的・機能に基づく支援 です。
FBA(機能的アセスメント)
個別行動支援計画(BIP)
厚い先行介入
代替行動・スキルの指導
結果の操作と強化
多職種・多機関連携
データに基づく継続的な見直し
これらを組み合わせることで、 「問題行動をなくす」のではなく、 その子が“学校で生きやすくなる”支援 になっていきます。学校生活を送り、 問題行動が深刻化するのを防ぐことができます。
■問1
Tier 3 の対象として最も適切なのはどれですか?
A:Tier 1 だけで安定している 80%の児童
B:少し困り始めた 10〜20%の児童
C:高頻度・高強度の問題行動があり、個別支援が必要な 3〜5%の児童
D:特別支援学級の児童全員
正解:C
解説:Tier 3 は「個別・集中的支援」が必要な 3〜5%の児童が対象です。
■問2
Tier 3 の最初のステップとして正しいものはどれですか?
A:すぐに強化プランを作る
B:教師の感覚で支援内容を決める
C:機能的行動アセスメント(FBA)を行う
D:家庭にすべて任せる
正解:C
解説:Tier 3 は必ず FBA から始まり、行動の“理由(機能)”を明確にします。
■問3
個別行動支援計画(BIP)に含まれる内容として適切でないものはどれですか?
A:ターゲット行動の定義
B:代替行動の設定
C:危機場面への対応
D:教師の主観的な印象のみで決めた罰則
正解:D
解説:BIP はデータと機能に基づく計画であり、主観的な罰則は含まれません。
■問4
Tier 3 の「先行介入(Antecedent Intervention)」の例として最も適切なのはどれですか?
A:問題行動が起きたら叱る
B:課題量や難易度を調整し、問題行動が起きにくい環境をつくる
C:問題行動が起きるまで様子を見る
D:強化をすべてなくす
正解:B
解説:Tier 3 では「問題行動が起きないようにする」環境調整が重要です。
■問5
Tier 3 が機能すると期待される効果として最も適切なのはどれですか?
A:問題行動が自然に消える
B:教師が一人で対応できるようになる
C:高リスク行動が減り、本人のストレスが下がる
D:Tier 1 や Tier 2 が不要になる
正解:C
解説:Tier 3 は個別・集中的支援により、本人の負担を減らし、学校生活を安定させます。
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